人間に残る仕事は、フグを食べてレビューすること

9月13日(日)、AI木曜会とAGIラボの合同ハッカソンを開催させていただきました。テーマは「10年後のあたりまえを、つくろう!」です。

発表に使うプロダクトも、スライドも、スプレッドシートも、AIと一緒に作り、作品の一次審査まで含めて、AstraとFableに最初から最後まで任せました。最後は人間の審査員が評価しましたが、運営のかなりの部分にAIが入っていた一日だったと感じます。(当日の詳細な様子や具体的な審査方法や、その中でのAI活用事例は後日あらためて記事にまとめたいと思います。)

AIと一緒に制作した表彰用アプリの開始画面。

ハッカソンの最後に、ある参加者の方と話している中で、深津さんの言葉はまさにその通りだなと感じました。

人類に残された仕事は「フグを食べて食レポすること」

深津貴之さんの9月9日の投稿にあった言葉です。私には、「できるかどうかまだ分からないこと」や「やったら怒られちゃうかなと思うこと」などを最初に試してみて、どうだったかをほかの人に伝える。うまくいくか分からないアイデアにも「でも、一回やってみよう」と手を伸ばしてみること。そんな役割は、AIで作れるものが増えるほど大事になる気がしています。

私にとって、今回のAI一次審査も、そんな取り組みでした。AGI CockpitのFleet(複数のAIに仕事を分担させ、まとめて進める仕組み)で、作品ごとにFableとAstraへ別々に評価を依頼し、複数の作品を並行して審査しました。Fableは提出資料を読み、Astraは可能な作品をブラウザで実際に操作して評価する担当です。それぞれの点数と評価理由を、スプレッドシートに残しました。詳細なログはChatGPT Sites機能を使って公開もしました。こちらから見れます:https://hackathon-judging-20260913.kai-postv.chatgpt.site/

Fableが資料を読み、Astraが実操作を担当する一次審査の流れ。すべての作品を最後まで操作できたわけではなく、確認できなかった点も記録しました。

実際にFleetでAstraへ渡した指示は、こんな内容でした(原文抜粋)。

あなたは実操作担当。純正Chrome/Computer Useで作品の主要動線を最大90秒・3操作程度確認。

AIが作ったものを、別のAIが読んだり触ったりして評価する。それを複数の作品で並行して回す。AIの評価は一次審査の参考にし、最終発表の後は人間の審査員3名が採点しました。

「10年後のあたりまえ」を考えるなら、今はまだ当たり前ではない使い方を、自分でも一度試してみる。今回の審査も、私にとってはその一歩だったと思います。

自分で新しい方法を試してみることも、誰かが作ったものを最初に使ってみることも、実際に触ってどうだったかを伝えるという点では同じです。そう考えると、ハッカソンで人が集まる意味も、少し違って見えてきます。

今回は4人グループでの開催でした。AIを使えば、一人でもプロダクトを作れます。

作る作業をAIに頼めるようになっても、使ってみて気づくことは、人によって違います。見ていて感じたのは、作る人にとって、ほかの3人は「最初のユーザー」になれるんじゃないか、ということです。

AIは開発を手伝ってくれますし、画面を操作して確かめることもできます。でも、そのプロダクトを生活や仕事の中で使う人が、どこで迷うか、何が面倒か、そもそも使いたいと思うかは、実際に人に触ってもらって確かめたいところです。

最初から完璧なものを作る必要はありません。進め方の一案として、まずは10分を目安に、小さく形にしてみる。その時点でほかの3人に使ってもらって、「ここ、こうした方がよくない?」「それなら、こんな使い方もできそう」と言ってもらう。

そのやり取りの中に、まだ自分が思いついていなかったアイデアがあるかもしれません。出てきたら、またAIと一緒に試す。4人全員が同じように開発する以外にも、そんな進め方ができそうだなと思いました。

もちろん、今回のようなハッカソンに参加しなくても、小さく試すことはいくらでもできるでしょう。毎週の集計でも、普段使っている二つのツールの連携でもいい。自分が「これ、できるのかな」と思ったことを一つ、AIに頼んでみる。できたものを誰か一人に触ってもらい、説明する前にどこで手が止まるかを見てみる。「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」「次に試したいこと」を、AGIラボのDiscordや身近な人に短く伝える。自分が作っていない日なら、誰かの試作品を使って感想を返す側でもいいと思います。

すごいアイデアを思いついてから始めなくてもいい。自分にはまだ分からないことを試し、使ってみた人の言葉を聞いて、もう一度作る。

最初にフグを食べて、どうだったかをほかの人に伝える。AIと一緒にものを作れるようになった今、そういう人がそばにいることこそが、ハッカソンの大きな意味なんじゃないか。参加者のみなさんと話しながら、そんなことを考えていました。