はじめに:JavaScriptがWebアプリ開発の中心になる時代

JavaScriptはもはや「ブラウザの言語」ではありません。

フロントエンドはもちろん、バックエンド、モバイルアプリ、デスクトップアプリ、さらにはAIエージェントの実行環境まで——JavaScriptはあらゆる領域に進出し、Webアプリ開発のデファクトスタンダードになりつつあります。

そんな中、2025年12月、AI企業Anthropicが買収したことで一躍注目を集めているのが、JavaScript環境「Bun」です。

「え?AIの会社がJavaScriptのツールを買収?」と思った方も多いでしょう。実は、AnthropicのAIコーディングアシスタント「Claude Code」は、わずか6ヶ月で年間売上10億ドル(約1500億円)を達成。その急成長を支えていたのが、まさにBunの技術だったのです。

この記事では、Bunとは何か、なぜ今注目されているのかを基礎から解説します。さらに、Node.jsやnpmとのパフォーマンス比較も実際に行い、本当に速いのかを検証していきます。

Bunを理解する前に:Node.jsとnpmって何?

Bunを理解するには、まずNode.jsnpmについて知っておく必要があります。なぜなら、この2つはWeb開発の世界で「当たり前」の存在だからです。

JavaScriptはもともとブラウザ専用だった

JavaScriptは、もともとWebブラウザの中だけで動くプログラミング言語でした。

Node.jsの登場:サーバーでもJavaScriptが動く!

2009年に登場したNode.jsは、この常識を覆しました。

Node.js = サーバー側でJavaScriptを動かすためのソフトウェア

これにより、フロントエンド(ブラウザ側)もバックエンド(サーバー側)も、同じJavaScriptで書けるようになったのです。


npmとは:パッケージを管理するツール

プログラミングでは、他の人が作った便利な部品(パッケージ)を組み合わせてアプリを作ります。例えば、Reactでフロントエンドを作り、Expressでサーバーを作る、といった具合です。

ただし、パッケージには依存関係があります。「パッケージAを使うには、パッケージBとCも必要」「パッケージBにはDとEが必要」...というように、連鎖的に必要なものが増えていきます。

これを人間が手動で管理するのは大変です。そこで登場するのがnpm(Node Package Manager)です。

npmは:

  • 必要なパッケージを自動でダウンロード

  • 依存関係を解析して、必要なものをすべてインストール

  • バージョンの互換性を管理

といった面倒な作業を自動化してくれます。

現在、npmには200万以上のパッケージが公開されており、世界中の開発者が利用しています。


Node.jsとnpmの課題

15年以上の歴史を持つNode.jsですが、いくつかの課題がありました。


Bunとは:オールインワンの超高速JavaScript環境

Bun(読み方:バン)は、2022年にJarred Sumner氏によって開発された新しいJavaScript/TypeScript環境です。

Bun

名前の由来

「Bun」という名前の正確な語源は公式には明かされていませんが、いくつかの説があります:

  • 丸パン(bun): ロゴが丸パンのような形をしていることから

  • Bunny(うさぎ)の略: 速さを象徴するウサギのイメージ

  • Bundle(バンドル)の略: バンドラー機能を持つことから

  • 短くて覚えやすい名前: bun.shというドメインが取得可能だった

Bunの4つの特徴

  1. 爆速: Node.jsより最大4倍高速

  2. オールインワン: 必要なツールが全部入り

  3. Node.js互換: 既存のプロジェクトにそのまま使える

  4. TypeScriptが最初から動く: 追加設定なし


Bunの4つの主要機能

Bunの4つの主要機能を見ていきましょう。

① Runtime(ランタイム)

JavaScriptとTypeScriptを高速実行する環境。
Node.jsとほぼ互換性があり、TypeScriptは追加設定なしでそのまま動きます。起動時間も非常に短いのが特徴です。

② Package Manager(パッケージマネージャー)

npmの代替となるパッケージ管理ツール。
グローバルキャッシュと並列処理により、npmより最大30倍高速にインストールできます。コマンドは bun install、bun add など直感的です。

③ Test Runner(テストランナー)

Jest互換の高速テストランナー。
expect、describe、itなどおなじみのAPIがそのまま使え、TypeScriptも設定なしで実行できます。

④ Bundler(バンドラー)

開発中はコードを複数のファイルに分けて管理しますが、そのままブラウザに読み込ませると、ファイルごとに通信が発生して遅くなります。

バンドラーは、これらのファイルを1つ(または少数)にまとめて、読み込みを高速化するツールです。

従来はwebpackやRollupなどを別途設定する必要がありましたが、Bunは追加設定なしでTypeScript/JSX/CSSを処理できます。