米国時間 10 月 13 日、Google が新しい最上位モデル「Gemini 4 Argon」を公開しました。

発表前から触っていた人たちの評価が、X に集まっています。主要な 5 つを原文つきで紹介し、AGIラボが AI Studio で試した結果を添えます。

AGIラボが Argon に作らせた物理の入門ページ (AI Studio、1 回の指示で 3 分 22 秒)
AGIラボが Argon に作らせた物理の入門ページ (AI Studio、1 回の指示で 3 分 22 秒)

Gemini 4 Argon の概要

  • Google の説明:「現実のソフトウェア開発や知的作業で、最も難しい問題を深く正確に解くために作った、最も高性能なモデル」

  • モデル ID:gemini-4-argon

  • 公開日:2026 年 10 月 14 日 (日本時間。米国時間 13 日)

  • 料金:100 万トークンあたり入力 2 ドル・出力 10 ドル (思考トークンも出力)。文脈の長さによらず同じで、11 月 30 日まで。12 月 1 日から倍

  • 知識の期限:2026 年 3 月 (モデルカード)

  • 使える場所:API の有料枠、Gemini アプリ (Pro・Ultra)、Antigravity (Ultra)。無料枠と Google AI Pro プランの API では使えません

先行利用者の評価 5 つ

共通するのは「Google が最前線に戻った。ただし首位ではない」という見立てです。

1. Ethan Mollick 氏 (ウォートン校教授)

公開前から使っていた Mollick 氏は、「OpenAI・Anthropic 以外で初めて Fable/Mythos/Astra の水準に達した」と評価しました。

Mollick 氏の投稿より。文章と創造性は両社並み以上、複雑なマルチエージェント作業は劣る
Mollick 氏の投稿より。文章と創造性は両社並み以上、複雑なマルチエージェント作業は劣る

一方で、結論に自信を持ちすぎる・少し手を抜くという癖も指摘しました。同じ指示で作ったゲームを Astra・Fable 5.1 と並べて公開しています。

2. Dan Shipper 氏 (AI メディア Every の CEO)

Every の 6 人が 1 週間かけて検証しました。結論は「新しいお気に入りの執筆パートナー」です。

Shipper 氏の投稿より。新規開発は速く、既存コードの整理は 21%
Shipper 氏の投稿より。新規開発は速く、既存コードの整理は 21%

新規開発では心拍計アプリを 35 分で作り、Opus 5.5 並みでした。

既存のコードを整理する課題のスコアは 21% で、Opus 5.5 などの 81〜85% を大きく下回りました。

38 回中 17 回は、変更を確かめずにレビューの工程を 30 ミリ秒で閉じています。

3. Artificial Analysis (独立評価機関)

総合指数は 53 で GPT-6 Astra と同点、Opus 5.5 の 58 には届きません。

1 タスクのコストは Astra の 6 割で、11 月 30 日までの割引価格です。

Artificial Analysis の投稿より。幻覚率 15% は指数 45 以上のモデルで最低
Artificial Analysis の投稿より。幻覚率 15% は指数 45 以上のモデルで最低

出力トークンは Astra の約 2.3 倍と多く、割引が終わる 12 月 1 日からはコストが Astra の約 1.2 倍になる計算です。

総合ランキングは 8 位でした。

4. Cursor (AI コードエディタ)

自社のコーディング評価 CursorBench は 52.8% で、既定の設定どうしでは Opus 5.5 (52.5%) と同等です。

Cursor の投稿と CursorBench の表より
Cursor の投稿と CursorBench の表より

設定を上げても 52.9% で、Opus 5.5 の High (56.0%) には届きません。

1 タスクのコストは Argon が 4.39 ドル、Opus 5.5 (Medium) が 2.91 ドルでした。

5. Bindu Reddy 氏 (Abacus.AI CEO)

厳しい評価も紹介します。実利用を反映する自社ベンチ LiveBench 2.0 では、Fable・Astra・GPT-6.1 Sol を下回りました。

Reddy 氏の投稿より。オープンソースの DeepSeek Flash よりは上
Reddy 氏の投稿より。オープンソースの DeepSeek Flash よりは上

Arena の実作業評価 (Agent Arena) でも、Opus 5.5・Sol・Fable 5.1・Astra に次ぐ 5 位です。

AGIラボで試した: 物理の入門ページを 1 回の指示で

AI Studio で Argon に、カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学入門』の 2 ページを渡しました。

頼んだのは「物理をまったく知らない学生でも直感的に分かる、アニメーション付きのページ」です。

このページの内容を、物理学の知識がまったくない学生でも直感的に理解できるように、アニメーションを取り入れたインタラクティブなページを作成していただけますか?添付3、4枚目のスタイルを参考・インスピレーションにして制作してほしいです。たっぷりトークンを使って時間をかけていいものを作ってみてください。将来的に物理学における他の概念も追加できるページ構成にしてみてください。

指示は 1 回、生成にかかった時間は 3 分 22 秒でした。

電磁場のシーン。クリックで電磁パルスを送れる
電磁場のシーン。クリックで電磁パルスを送れる

できたのは 3 シーンの構成です。電磁場、「重力場=空間そのもの」、漏斗の上のビー玉と惑星の動きを並べています。

太陽の重さをスライダーで変えると、空間のゆがみが変わります。物理の他の概念を章として足せる構成にもなっていました。

重力のシーン。スライダーで太陽の質量を変えると空間がゆがむ
重力のシーン。スライダーで太陽の質量を変えると空間がゆがむ

動きは AGIラボの X に投稿した動画でご覧ください。

同じ課題を、Antigravity のエージェント (ハーネスあり) にも解かせました。約 12 分、27.8 万トークン、費用は約 0.65 ドルです。

この実行は HTML を 1 回で書き、構文を確かめただけです。ブラウザで開いて直す工程は入っていません。

左が AI Studio (3 分 22 秒)、右が Antigravity のエージェント (約 12 分)
左が AI Studio (3 分 22 秒)、右が Antigravity のエージェント (約 12 分)

Claude Opus 5.5 (claude.ai のチャット、Medium) にも、同じ課題を頼みました。

出力はこちら:

Claude Artifact Try out Artifacts created by Claude users claude.ai

チャットのアプリと、モデル単体やハーネスでは、使える道具も手順も違います。

上から AI Studio、Antigravity のエージェント、Claude Opus 5.5 (claude.ai) の最初の画面
上から AI Studio、Antigravity のエージェント、Claude Opus 5.5 (claude.ai) の最初の画面

claude.ai の Opus 5.5 は画面を撮って確かめながら直していましたが、Antigravity のハーネスは画面で確かめず、構文の確認で終わりました。

Antigravity のハーネスで仕上がりを上げるには、画面で確かめて直す手順まで指示に書く必要がありそうです。

文章を書かせてみた (途中経過)

Opus 5.5 と Argon に同じ文章課題を書かせ、モデル名を伏せて読み比べています。10 本中 5 本を評価した途中経過です。

Argon は、例えや語り口のうまさが目立ちました。

AI がそれっぽい間違いをする理由を説明する課題では、スマホの予測変換を例えに使っています。

「スマホで「いつもお世話に」と打つと、次の候補として「なっております」が出てきますよね。」

読み比べた側にとって、あまり考えたことのない、新しさのある例えでした。

まとめ

評価の共通点は、文章力と新規開発の速さ、割引中のコストです。分かれるのは既存コードの改修と、自己チェックの丁寧さでした。

AGIラボの物理ページも、1 回の指示でここまで動くものが出た一方、仕上げの判断は人の側に残ります。

まず割引期間中に、文章の相談と小さなプロトタイプから試すのがよさそうです。

Google Workspace を使っている会社は、日本でも多いと思います。

Workspace で Gemini を使っている会社で、Claude Code や Codex を使いにくい人こそ、Argon を大いに活用するとよさそうです。

文章作成は Mollick 氏・Shipper 氏とも評価が高く、まず試したい用途です。

参考リンク