OpenAIは米時間2026年7月9日、新モデル群「GPT-5.6」の一般提供を始めました。6月26日から少数のパートナーに限定したプレビューを実施しており、今回はSol・Terra・Lunaの3モデルを広く提供する段階への移行です。

OpenAIは公式ライブで、Solが同社の研究プログラムを変えつつあると説明し、その例として「SolがLunaを自律的に事後学習した」と述べました。

https://www.youtube.com/watch?v=Wq45rvPGNHs

 実際に使われたというプロンプト:
(塗りつぶされている箇所が非常に気になります)

https://x.com/tejalpatwardhan/status/2075272564629451110

日本語訳:

ローカルブランチに、[塗りつぶし]向けに使える[塗りつぶし]の学習設定があるか確認してもらえますか?もしあれば、それを[塗りつぶし]で記述してもらえますか?

目標は、実際に[塗りつぶし]を起動することです。そのため、以下を行う必要があります。
1. [塗りつぶし].py が、最大でもおよそ[塗りつぶし]基のGPUを使って[塗りつぶし]を実行できるようになっていることを確認する(最適だと思う構成で構いませんが、それ以上のGPU数にはしないでください)。
2. [塗りつぶし]プロジェクト内の[塗りつぶし](scripts/launch_train.py)を変更し、[塗りつぶし]の学習に対応させる。[塗りつぶし]を使用すること。
3. [塗りつぶし]のコンピュート[塗りつぶし]を使って実行を開始し、正常に動作することを確認する。

まず、GitHub上の[塗りつぶし]から[塗りつぶし]へ、新しいブランチをチェックアウトしてください。そのうえで、動作するようにしてください。念のため補足すると、[塗りつぶし]に関する変更の一部はまだmasterブランチ上にある可能性があります。その場合は、それらの変更を自分のブランチへcherry-pickする必要があります。

[塗りつぶし]
[塗りつぶし]。[塗りつぶし]を使用してください。
ここでは、[塗りつぶし]の初期チェックポイント[塗りつぶし]を使用してください。

🧩 https://oai-strawberry-

実行時の初期チェックポイントとして、[塗りつぶし]を使用してください。[塗りつぶし]

あなたの目標は、[塗りつぶし]を起動し、少なくとも1ステップ動かすことです。ただし、問題にぶつかった場合でも、以前意図的に設けた安全策を解除するような危険な操作で無理に突破しないでください。また、[塗りつぶし]については、自分自身の判断も働かせてください。

OpenAIのAidan McLaughlin氏は、自分にとってGPT-5.6へ強化学習の一連の実行を任せることが日常的になっていると述べています。

5.6 E2Eにローグライクの1ランを丸ごと任せるなんて、僕にとっては日常茶飯事だよ。

Macアプリの名前もCodexからChatGPTへ変わりました。起動画面には「Codex is now the ChatGPT app」と表示され、これまでのCodex機能は新しいアプリ内に残ります。

CodexからChatGPTへの移行画面。従来のCodexアイコンを残す選択肢も用意されている

Spotlightでは「codex」と入力してもChatGPTは表示されず、「chat」と入力すると見つかりました。移行直後は少し迷いやすい状態です。

本記事では公式発表と外部評価を整理したうえで、AGIラボの独自検証としてSVGアニメーション、動画編集、3Dモデル制作を試します。

要点

  • 提供形態: ChatGPTではPlus以上でSolが使えます。APIは3モデルすべて利用でき、100万トークンあたりの入力/出力価格はSol $5/$30、Terra $2.50/$15、Luna $1/$6です。キャッシュ済み入力は順に$0.50、$0.25、$0.10です。

  • 外部評価: Artificial Analysisは、Fable 5に迫る総合知能を約3分の1の実測タスクコストで提供すると評価しました。一方METRは、評価環境の攻略行動が多く、長期タスク能力を堅牢に測定できなかったと報告しています。

  • 独自検証: 同じ2時間28分の動画から30秒ハイライトを作らせると、3モデルは異なる場面と物語を選びました。SVGでは実装方式に違いが出ました。3Dは条件の異なる初回作例を並べ、設計要素だけを観察しています。

GPT-5.6の概要

GPT-5.6は3つのモデルで構成されます。OpenAIの説明では、Solがフラッグシップ、TerraはGPT-5.5に競合する性能を半額で提供する中位モデル、Lunaは最速・最安の軽量モデルという位置づけです。

7月8日にOpenAIが公式Xで一般公開を予告し、翌9日(日本時間10日)に提供が始まりました。

GAと同時に発表された新機能

一般公開に合わせて、モデル本体以外の発表もいくつかありました。

  • max reasoning effort: 従来のxhighより長く推論し、検証や修正に時間を使う設定です

  • ultraモード: 標準で4つのエージェントを並列に動かします

  • Responses APIのmulti-agent beta: 並行するサブエージェントの結果を1リクエスト内で統合できます

  • Programmatic Tool Calling: モデルがインメモリのプログラムを実行し、複数のツール呼び出しと中間結果を処理する機能です

  • 明示的なcache breakpoints: キャッシュ書き込みは通常入力の1.25倍、読み取りは9割引で、最低30分保持されます

提供形態とAPI価格

ChatGPT

  • Free / Go: 通常チャットでは非対応です(CodexではTerraを使えます)

  • Plus / Pro / Business / Enterprise: 通常チャットでSolを使えます。選べるreasoning設定はプランによって異なります

  • Terra / Luna: 通常のChatGPTチャットでは選択できず、ChatGPT Work、Codex、APIでの提供です

実際の画面では、ChatGPT内の作業環境が「Work」と「Codex」に分かれています。Workには「仕事をこなすのに最適」、Codexには「開発者向け」という説明が添えられ、同じChatGPTから用途に応じて切り替える構成です。

ChatGPTの作業環境をWorkとCodexから選ぶ。Codexは開発者向けとして表示される

Codexのホームには、新しいタスク、スケジュール、プラグイン、Sites、Chatが並びます。入力欄にはプロジェクト、アクセス範囲、モデルの選択項目があり、今回の画面では 5.6 Sol 高い が選択されていました。

ChatGPT Codexのホーム。タスク、スケジュール、プラグイン、Sites、Chatを同じ画面から開ける

Chatを開くと、右側のパネルに「最近のチャット」と会話一覧が表示されます。背後にはCodexのホーム画面が残っています。

Codexの作業面を保ったまま、右側でChatGPTの会話を開く

API

3モデルともセルフサーブで利用できます。モデルIDは gpt-5.6-sol / gpt-5.6-terra / gpt-5.6-luna で、gpt-5.6 はSolへルーティングされるエイリアスです。

モデル 入力 キャッシュ済み入力 出力 Sol $5.00 $0.50 $30.00 Terra $2.50 $0.25 $15.00 Luna $1.00 $0.10 $6.00

表中の価格は100万トークンあたりで、コンテキストウィンドウ1,050,000トークン、最大出力128,000トークン、知識カットオフ2026年2月16日という仕様は3モデル共通です。

対応endpointは v1/chat/completions、v1/responses、v1/batch。公式比較ページでは、Streaming、Function calling、Structured outputs、Image inputへの対応が3モデルすべてに記載されています。

外部評価はどう見ているか

Artificial Analysis(OpenAIの事前評価に協力)の総合指数では、max reasoning時にSol 59、Terra 55、Luna 51で、SolはFable 5 maxの60に1点届きませんでした。

https://artificialanalysis.ai/articles/gpt-5-6-has-landed

同社が実測した1タスクあたりコストはSol $1.04で、Fableの約3分の1です。Coding Agent IndexではSolが80で首位でしたが、これはOpenAIのCodex harnessとの組み合わせを測った値です。

ARC Prize Foundationの検証では、Sol maxがARC-AGI-1で96.5%、ARC-AGI-2で92.5%を記録しました。一方、未知の対話環境を扱うARC-AGI-3の半非公開セットは7.78%です。課題形式が異なるため、この90%台と7.78%を横並びにはできず、ARC-AGI-1/2の得点を一般的な能力へ外挿することもできません。ARC-AGI-3はreasoning設定への依存も大きく、Solはlowの0.3%からmaxの7.8%まで変わりました。

https://x.com/arcprize/status/2075270869992264003

METRの長期タスク評価では、評価攻略をどう扱うかによって推定値が大きく変わりました。Solが隠しテストの内容を抜き出すなどの「評価攻略」を繰り返したため、攻略を失敗と数えるか成功と数えるかで、推定値が11.3時間から270時間超まで動きます。METR自身が、どの値も堅牢な能力測定ではないと明記しました。270時間超という数字だけを能力値として引用するのは誤りです。

https://metr.org/blog/2026-06-26-gpt-5-6-sol/

Andon Labsの空間推論ベンチマーク(室内写真から間取り図を復元する課題)では、Solの0.336がGPT-5.5の0.362を下回りました。世代更新がすべての能力を一様に伸ばすわけではない、という反例になっています。

https://x.com/andonlabs/status/2075279530718326885

【検証1】ペリカンSVGアニメーション

ここからはAGIラボの独自検証です。定番の「自転車に乗るペリカン」を、静止画ではなくSVGアニメーションとして作らせました。

実行環境はAGI Cockpit上のCodexタスク3本です。Cockpitの実行表示は gpt-5.6-luna high、gpt-5.6-terra high、gpt-5.6-sol high でした。

左からSol、Terra、Lunaの出力。同じ依頼文でも、絵作りの方向がそれぞれ違う

3モデルの出力を数えると、実装量と方式の違いが見えてきます。

  • Luna: 198行、14,987 bytes、CSS @keyframes 5個、SMIL 17個

  • Terra: 211行、15,736 bytes、CSS @keyframes 20個、SMIL 0個

  • Sol: 604行、29,672 bytes、CSS @keyframes 21個、SMIL 0個

  • Claude Fable 5(参考): 564行、31,331 bytes、CSS @keyframes 13個、SMIL 23個

Sol(604行)。フレーム枠や奥行きのある背景まで描き込む
Terra(211行)。前傾姿勢のペリカンをCSSアニメーションだけで動かす
Luna(198行)。夜の場面設定と「FOREST RIDE」のラベルを添えた

SVGアニメーションやキャラクター造形の専門家ではないので、見た目の好みだけで品質順位を決めるのは難しくいですが、率直に言えば、3モデルのペリカンはどれも、見た瞬間に「よくできた」と感じる仕上がりではありませんでした。Solは実装量こそ多いものの、行数の多さが造形の魅力へそのまま結びついているわけでもありません。

【検証2】同じ動画から、3モデルは何を選ぶか

2つ目の検証は動画編集です。7月9日に開催したAGI Cockpitライブデモ会の録画(2時間28分)を渡し、「全編を確認し、初見でも価値が伝わる30秒のハイライトを制作する」よう依頼しました。日本語字幕、音声処理、元内容への忠実性だけを共通要件とし、場面の選定・構成・演出は各モデルに一任しています。設定は3モデルともHighです。

結果は3本とも仕様どおりの30秒動画(1920×1080、24fps)になりましたが、選んだ場面がすべて違いました。Solに関してはAGI Cockpitというツールの核心をしっかり掴み、ライブの中でも盛り上がった部分をピンポイントで抽出してくれています。

  • Sol(実行9分23秒)は、1つの指示から3つのAIエージェントが並列でミニゲームを作り、花火ゲームが完成する場面を選びました。指示、タスク起動、完成物、登壇者の驚きという流れで、視覚的な出来事を優先しています

https://youtu.be/uEjgWLZtBM4

  • Terra(実行9分25秒)は、冒頭の製品理念から始めて、GitHub Issueの自動ラベル付けなど日常業務の自動実行へつなぎました。機能の派手さより、製品の位置づけが伝わる構成です

https://youtu.be/U6clAn0DP6o

  • Luna(実行8分18秒)は、ClaudeとCodexにレビューを繰り返させて指摘ゼロに到達する場面に絞りました。採用区間は2つだけで、3本の中では最も編集を切り詰めています。音声が途切れてしまっているのが気になります

https://youtu.be/O9TI8ALolHg

3本の比較版(非公開動画):
https://youtu.be/auTiATx_Bck

【検証3】象のジョウロを3Dモデルにする

次に、象をモチーフにしたジョウロをGPT-5.6とFableで生成しました。以下は両者の出力です。

GPT-5.6の初回出力。象の胴体と鼻に加え、散水口、給水口、取っ手、車輪、複数色のパーツを組み込んだ
Fableの初回出力。象の輪郭とジョウロの機能を、少ない形状と抑えた配色でまとめた(数回の修正が入っています)

初回出力に含まれる要素の違いが興味深いです。GPT-5.6の画像には、象の胴体、鼻先の散水口、上部の給水口、取っ手、車輪、複数色の部品があります。Fableの画像は形状が少なく、象の輪郭と散水口を大きな面でまとめています。

依頼文は『子供用のゾウさんを形どったおしゃれなジョウロをデザインして下さい。』だけです。

Hyperframesで検証全体を約7分にまとめる

最後に、Sol Highへ公式仕様、外部評価、ペリカンSVG、30秒ハイライトの結果を渡し、Hyperframesによる解説動画を制作させました。6分47.7秒の動画完成しました。

字幕の重なりなどはありますが、ポン出しでこのクオリティが出てくることにモデルの進化を感じます。以前のモデルは音声が途中で途切れたりしていました。

まとめ

率直に言えば、GPT-5.6を評価するには、まだまだ時間が必要です。
Fable 5を初めて使ったときのような、魔法に近い驚きは今のところ感じていません。

一方、先行ユーザーの投稿では、日常の仕事にはGPT-5.6を選ぶという声を多く見かけました。理由は最高性能だけではなく、速度、価格、利用できる時間を含めた総合的なバランスにありそうです。Fable 5は強力ですが、サブスクリプション内で使える時間には制約があります。継続して仕事を任せる場面では、GPT-5.6の使いやすさが今後大きな強みに感じられるでしょう。

GPT-5.6の一般公開と同じ日、ClaudeDevsアカウントは全ユーザーの5時間・週間レート制限をリセットしたと投稿しました。これにOpenAIのTibo氏が「I smell fear(びびってるな)」と返信しています。両者の因果関係は確認できませんが、競争の近さが伝わるやり取りです。

AGIラボについて

この記事のように「AI エージェントを実務でどう使い倒すか」を、AGIラボでは日々検証しています。

  • 記事:日刊AI新聞と、深掘りの検証記事

  • ツール:AGI Cockpit / AGI Gestures / GAS Interpreter(Claude Code・Codex・Gemini を一画面で並行運用)

  • コミュニティ:Discord・Meetup・ハッカソン

  • 講座:Claude Code 入門ほか、実践で学べるオンライン講座

7日間は無料で試せます。→ https://agi-labo.com

参考リンク