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プロロゴス
プロロゴス 第1–150行
〔テーベの王宮前。あらゆる年齢の嘆願者が、羊毛を巻いたオリーブの枝を手に、祭壇を囲んで座っている。先頭にはゼウスの祭司がいる。オイディプスが現れる。〕
オイディプス 古いカドモスの町に新しく生まれた、わが子らよ。なぜ嘆願の枝を手に、こうして私の前に座っている。町じゅうに香が立ちこめ、祈りと嘆きの声が絶えないのはなぜだ。 人づてに聞くべきことではないと思い、私自身がここへ来た。世に名を知られた王、オイディプスが。 白髪から見て、あなたが皆の代表なのだろう。何を恐れ、何を願っているのか話してほしい。私は力になりたい。これほどの人々を前にして心を動かされないなら、私はあまりに冷酷だ。
祭司 オイディプス様、わが国の王よ。ご覧のとおり、宮殿の祭壇には、まだ飛ぶこともできない幼子から、年老いて腰の曲がった者まで集まっています。私はゼウスの祭司、こちらには若者たちもいます。町の人々は枝を手に二つの広場へ集まり、アテナの二つの神殿や、イスメノスの火の託宣所にもひざまずいています。 この国という船は、血の波にのまれ、もう頭を上げることができません。実りかけた穀物は枯れ、家畜は死に、母の胎から子が生まれません。そのうえ疫病の神が燃える松明をかざして町へ襲いかかり、カドモスの家々を空にしています。冥府は、私たちのうめきと涙で満ちています。 王よ、私たちがあなたの炉辺に座るのは、あなたを神と思うからではありません。人に起こる出来事にも、神々から降る試練にも、あなたこそ人の中で第一だと思うからです。 かつてあなたはこの町へ来て、恐ろしい謎の歌い手に払っていた代償から私たちを救いました。私たちが教えたのでも、誰かに習ったのでもない。神に導かれて、あなたは私たちの命を取り戻したのだと、皆が信じています。 比類ない王オイディプスよ、どうか救いの道を見つけてください。天から声を聞くにせよ、人の知恵で考えるにせよ。経験を積んだ人の助言こそ、未来を開く力になるはずです。 人々の長よ、この国をもう一度立ち上がらせてください。以前の働きによって、あなたは国の救い主と呼ばれています。後の世に、「この王は私たちを起こし、また倒した」と言わせないでください。町を揺るがない岩の上に建て直してください。 かつてあなたを上昇させた幸運の星を、沈ませてはなりません。この国を治め続けるなら、無人の荒野より、人の暮らす国を治めるほうがよい。守る人がいなければ、城壁も船も何の役にも立ちません。
オイディプス 気の毒なわが子らよ。お前たちが何を求め、何に苦しんでいるか、よく分かっている。皆が病んでいる。それでも私の苦しみは、どれほど深いお前たちの苦しみより、さらに重い。 一人ひとりの悲しみは、その人だけを打つ。だが私は、この国と、自分と、皆のために同時に嘆いている。お前たちが目覚めさせたのは、眠っていた人間ではない。私はすでに多くの涙を流し、考えられる道をいくつもたどった。 そして一つの手がかりを見つけた。妻の兄で、メノイケウスの子クレオンを、デルポイのアポロンの神殿へ遣わしたのだ。何をし、何を語ればこの国を救えるのか、神に尋ねさせるために。 出発してからの日を数えると、帰りが遅すぎるのが気にかかる。だが戻ったなら、神の命令を一つでも行わない私は、卑しい人間となるだろう。
祭司 まことに折のよいお言葉です。あの歓声からすると、ちょうどクレオンが戻ったようです。
オイディプス アポロンよ。あの晴れやかな顔と同じく、知らせも明るいものであってくれ。
祭司 良い知らせに違いありません。そうでなければ、実をつけた月桂樹の冠をかぶっては来ないでしょう。
オイディプス すぐ分かる。もう声の届くところまで来た。
〔クレオンが現れる。〕
オイディプス 王家の身内、メノイケウスの子よ。神からどんな言葉を持ち帰った。
クレオン 良い知らせです。耐えがたい災いも、正しく決着すれば、すべて良い方向へ向かいます。
オイディプス 託宣は何と言った。その話だけでは、安心も不安もできない。
クレオン 皆の前で聞くおつもりなら、ここで話します。二人だけで中へ入ってもよいのですが。
オイディプス 皆の前で話せ。私が背負う苦しみは、自分のためより、民のためのものだ。
クレオン では、神が告げたことをそのまま申し上げます。アポロンは、この国に根を下ろした恐ろしい穢れを取り除き、癒やしようのない病をこれ以上抱え込むなと命じました。
オイディプス どうすれば償える。何が起きている。
クレオン 追放するか、血には血で報いることです。流された血の穢れが、この国を沈めています。
オイディプス 神は誰の罪を指している。
クレオン あなたが国を治める前、この地の王はライオスでした。
オイディプス 話には聞いたが、会ったことはない。
クレオン その王が殺されました。神の命令は明白です。殺した者が誰であれ、罰せよ、と。
オイディプス どこにいる。はるか昔の罪の、かすかな跡を、どこで見つければよい。
クレオン 神は「この国にいる。探す者は見つけ、手をこまねいて眠る者は見失う」と言いました。
オイディプス ライオスが殺されたのは、宮殿か、野外か、それとも旅の途中か。
クレオン デルポイへ向かうと言って出発し、そのまま戻りませんでした。
オイディプス 知らせを持ち帰った者や、手がかりになる同行者はいなかったのか。
クレオン 命からがら逃げ帰った者が一人だけいます。見たことのうち、確かに言えたのは一つだけでした。
オイディプス 何だ。一つでも手がかりがあれば、わずかな希望から多くを突き止められる。
クレオン 襲ったのは一人の盗賊ではなく、大勢の一団で、王を殺したというのです。
オイディプス テーベの誰かに金で雇われでもしなければ、盗賊がそこまで大胆なことをするだろうか。
クレオン 私たちもそう疑いました。けれど、その後の混乱の中で、殺された王のために立ち上がる者はいませんでした。
オイディプス 王が無残に倒れたのに、何が捜査を妨げた。
クレオン 謎をかけるスフィンクスです。過去の見えにくい事件を追うより、目の前の危機に立ち向かわざるを得ませんでした。
オイディプス ならば、私が初めからやり直し、闇にあるものを明るみに出す。死者を思うアポロンの心も、あなたの心も正しい。私も、この国と神に対する罪を晴らすため、力を貸そう。 遠い他人のためではない。私自身のために、この血の毒を追い出すのだ。あの王を殺した者が、同じ手で私を狙わないとも限らない。ライオスのために正義を行うことは、自分を守ることでもある。 さあ、子らよ、祭壇の階段を離れ、嘆願の枝を持って帰れ。テーベの民をここへ集めよ。神の助けがあれば、私たちは成功する。できなければ、滅びるまでだ。
〔オイディプスとクレオンが去る。〕
祭司 子らよ、帰ろう。私たちが願おうとしたことを、王は恵み深い言葉で約束してくださった。この託宣を送った神が、私たちを救い、疫病を取り除いてくださいますように。
〔祭司と嘆願者たちが去る。〕
0211
パロドス
パロドス 第151–215行
合唱隊
第一の歌 黄金に輝くデルポイの神殿から、甘い声を持つゼウスの娘よ、 神聖なテーベへ、何を運んできたのか。 私の心は不安に締めつけられ、恐怖に震えている。 デロスの癒やしの神よ、聞いてください。 これまで知らなかった苦しみが来るのか。 それとも巡る年とともに、古い罰がまた始まるのか。 黄金の希望から生まれた、不滅の声よ、どうか教えてください。
第一の返し歌 まずアテナに呼びかける。ゼウスから生まれた女神よ、守ってください。 その姉妹であり、この町の広場の中央に高く座るアルテミスよ、助けてください。 死を運ぶ矢を放つアポロンよ。 三柱の力を合わせ、死と滅びから私たちの町を救ってください。 かつて私たちが滅びかけたとき、燃え立つ疫病をこの地から追い払ってくださったように、 今もそばに来て、守ってください。
第二の歌 ああ、数えきれない苦しみが降りかかる。 民はみな衰えてゆく。 心には身を守る武器もない。 大地は恵みの実を結ばず、 女たちは実らない産みの苦しみに泣く。 命は次々に打ち倒され、 風を切る鳥より速く、 燃える炎より速く、 夜の神がいる西の岸へ飛び去ってゆく。
第二の返し歌 死に死が重なり、 町はすべて失われようとしている。 遺体は道に積み重なり、さらに病を広げる。 世話をする者も、悼む者もいない。 祭壇の階段では、妻たちと老女たちの 長いうめきと鋭い叫びが、 祈りの歌に入り交じる。 ゼウスの黄金の娘よ、聞いてください。 救いの顔を見せてください。
第三の歌 盾も刃も持たないのに、 戦いの叫びのような声を上げて歩き回るアレス。 その熱い息を、私は感じる。 どうか彼を敗走させ、 港のないトラキアの荒海へ、 あるいは大海原の底へ追い払ってください。 夜を生き延びた者も、朝の太陽に打たれて死ぬ。 雷を手にする父ゼウスよ、 その稲妻で疫病を倒してください。 どうか打ち倒してください。
第三の返し歌 リュキアの王アポロンよ、 張りつめた黄金の弦から、私たちを守る矢を放ってください。 リュキアの山を駆ける狩りの女神アルテミスよ、 燃える松明を掲げてください。 そして黄金の髪飾りをつけ、この国と名を分かつ神、 信女たちが歓声を上げて従うディオニュソスよ。 明るい松明を手に来て、 私たちが愛し、災いの神々が恐れるその力で、 疫病を追い払ってください。
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第一エペイソディオン
第一エペイソディオン 第216–462行
〔オイディプスが現れる。〕
オイディプス お前たちは祈っている。よいことだ。だが私の言葉を聞き、それに従って治療に当たるなら、慰めと救いを得られるかもしれない。 私はこの事件にも、この罪にも関わりのない者として話す。手がかりもなく、一人で追うことはできない。私は事件の後になってテーベの民となったからだ。そこで、すべてのテーベ人に告げる。 ラブダコスの子ライオスを殺した者を知る人は、私にすべて話してほしい。自分自身の罪を恐れている者も、告白すれば死刑にはしない。受ける罰は追放だけで、命を傷つけられずにこの国を去れる。 異国から来た者が犯人だと知っているなら、それも話してほしい。知らせた者には、私から礼と報酬を与える。 それでも、自分や友人を恐れて沈黙するなら、私の決定を聞け。犯人が誰であろうと、私はその者を禁じる。私が治めるこの国の者は、彼を家に入れてはならない。話しかけても、祈りや供犠や清めの儀式に加えてもならない。家から追い出せ。 神託が明らかにしたとおり、その男こそ私たちの穢れである。私は神と、殺された王のために戦う。 犯人にも、その共犯者にも呪いをかける。惨めな者として、惨めな生をすり減らせ。そして私が知りながら彼を家に迎えたなら、今かけた呪いが私自身に降りかかるように。 私のため、神のため、天の怒りに焼かれたこの国のため、命じたことを実行せよ。神が命じなかったとしても、偉大な王の殺害を清めず、犯人も追わずに済ませるのは恥だ。 今や私はライオスの王座と寝床と妻を継いでいる。もし彼が子を持つ望みを奪われなかったなら、同じ母から生まれた子どもたちが、私たちをさらに深く結びつけていただろう。だが運命は彼に襲いかかった。 だから私は、彼を自分の父のように思い、血の復讐を果たす。ラブダコスの子、ポリュドロスの孫、カドモスと、祖先アゲノルにつながるライオスを殺した者を見つけるため、あらゆる手を尽くす。 従わない者には、大地の実りも、子を宿す恵みも神々が与えず、今よりさらにひどく衰えさせるよう願う。だが私の行いを支持する忠実な民には、正義とすべての神々が、いつも味方であるように。
合唱隊 王よ、その誓いを受け、私も誓います。私は殺しておらず、殺した者も知りません。謎を出したのがアポロンなら、誰が犯人かも、アポロン自身が答えてくださればよいのですが。
オイディプス もっともだ。しかし神々が望まないことを、人間が無理に語らせることはできない。
合唱隊 では、次によいと思うことを申し上げてもよいでしょうか。
オイディプス 三番目に良い案まであるなら、それも言え。
合唱隊 アポロンと同じものを見る人がいるとすれば、予言者テイレシアスです。この事件を探す者を光へ導けるのは、何より彼でしょう。
オイディプス それも手配してある。クレオンに勧められ、二度も迎えを送った。まだ来ないのを不思議に思っていたところだ。
合唱隊 昔からの噂も思い出します。ただの噂ですが。
オイディプス 話せ。私はすべて知りたい。
合唱隊 旅人たちに殺されたと言われています。
オイディプス 私も聞いた。だが、それを見た者を見た人はいない。
合唱隊 犯人に恐れる心があれば、王の呪いに震えて逃げるでしょう。
オイディプス 行いを恐れなかった者が、言葉を恐れるものか。
合唱隊 しかし、犯人を告げる人が来ました。ついに、神の霊を受けた予言者が運ばれてきます。人の中で、真実が最も深く宿る方です。
〔少年に手を引かれ、テイレシアスが現れる。〕
オイディプス テイレシアスよ。賢者の知識も、隠された神秘も、天上のことも地上のことも、あなたはすべて知っている。目では見えなくても、どんな疫病が町を侵しているか分かるはずだ。予言者よ、私たちはただ一つの盾として、あなたを頼る。 デルポイへ行った使者から、神の答えは聞いているだろう。疫病を去らせる道は一つ。ライオスを殺した者を見つけ、殺すか、この国から追放することだ。 鳥のしるしでも、あなたの持つ別の占いでもよい。どうか自分自身と、この国と、王を救ってほしい。流された血の穢れから、私たちすべてを救ってほしい。 頼れるのはあなたなのだ。自分の力を尽くして人を助けることこそ、人が果たせる最も尊い務めである。
テイレシアス ああ、知ることが何の役にも立たないとき、知恵はなんと苦しいものか。私はそのことを忘れていた。覚えていたなら、ここへは来なかった。
オイディプス どうした。なぜそんなに暗い顔をする。
テイレシアス 家へ帰らせてくれ。止めないでほしい。あなたはあなたの重荷を、私は私の重荷を背負うのが一番よい。
オイディプス それは恥ずべきことだ。テーベに生まれ、この国を愛する者が、予言の言葉を隠すのか。
テイレシアス 王よ、あなたの言葉は的を外している。私まであなたのようにつまずくのを恐れている。
オイディプス 知っているなら話してくれ。隠さないでほしい。私たちは皆、あなたに願っている。
テイレシアス 皆、何も分かっていない。私は自分の苦しみも、あなたの苦しみも、口にはしない。
オイディプス 知っていながら話さないのか。この国を裏切り、滅ぼすつもりか。
テイレシアス 自分もあなたも苦しめたくない。むだに尋ねるな。私からは聞けない。
オイディプス 石でさえ腹を立てるほどの男だ。何を言っても口を開かず、かたくなな沈黙をやめないのか。
テイレシアス 私の心を責めながら、自分自身の心は見ていない。あなたのほうこそ、私を非難している。
オイディプス 国をこれほど侮る言葉を聞いて、怒らずにいられる者がいるか。
テイレシアス 私が黙っても、来るべきものは来る。
オイディプス 来るのなら、それを話すのがあなたの務めだ。
テイレシアス これ以上は言わない。好きなだけ怒りを解き放て。
オイディプス そうか。怒りを抑えず、思っていることをすべて言おう。お前こそ、この罪を企て、殺すこと以外のすべてを実行した者だ。もし目が見えていたなら、お前一人で血を流したと断言していた。
テイレシアス そうか。それなら、自分で出した布告に従え。今日から、この人々にも私にも話しかけるな。この国を汚している呪われた者は、あなただ。
オイディプス 卑劣な中傷を吐き、予言者だから罰を免れると思うのか。
テイレシアス 私は自由だ。真実の力が私を強くする。
オイディプス 誰から教わった。その占いの技ではあるまい。
テイレシアス あなたからだ。話したくない私を、あなたが追い立てた。
オイディプス 何と言った。もう一度言え。疑いを残すな。
テイレシアス 意味が分からなかったのか。それとも、また私を怒らせたいのか。
オイディプス 半分しか分からなかった。もう一度言え。
テイレシアス あなたが追っている殺人者は、あなただ。
オイディプス 二度もそんな中傷を口にしたことを、後悔させてやる。
テイレシアス もっと言えば、さらに怒るか。
オイディプス 好きなだけ言え。むだな言葉にすぎない。
テイレシアス あなたは知らぬまま、最も近い血縁の者と、恥ずべき暮らしをしている。
オイディプス そんな口を利き続けて、無事でいられると思うのか。
テイレシアス 真実に力があるのなら。
オイディプス ほかの人にはな。お前は耳も、頭も、目も、すべてが見えない。
テイレシアス 気の毒な人だ。ここにいる者たちは、やがてその侮辱をそっくりあなたへ返す。
オイディプス 果てのない闇から生まれたお前に、私や、太陽を見る者を倒す力はない。
テイレシアス あなたを倒すのは私ではない。そのことはアポロンに任せる。
オイディプス これはクレオンの企みか。それともお前の企みか。
テイレシアス クレオンではない。あなた自身が自分を滅ぼすのだ。
オイディプス 富も、王権も、人生の戦いで技を打ち破る知恵も、なんと多くのねたみを呼ぶことか。 私は望みもしなかった王冠を、この国から与えられた。その王冠を奪うため、信頼していた身内のクレオンが陰で待ち伏せし、このいかさま師を雇ったのだ。金のことだけはよく見えるが、予言については何も見えない、口先だけの物乞い祭司を。 言ってみろ。お前が本当の予言者だと証明したことがあるか。謎をかけるスフィンクスがいたとき、なぜ人々を救う言葉を出せなかった。 あの謎は当てずっぽうで解くものではなく、予言の技が必要だったはずだ。だがお前にはできなかった。鳥も天のしるしも助けてくれなかった。 そこへ、何の託宣も知らない私が来た。私は自分の知恵でスフィンクスを黙らせた。 その私を失脚させ、クレオンと代わって国を支配しようというのだな。罪を負わせる者を追い出そうとしたお前たちは、すぐにその企みを悔やむだろう。年寄りでなければ、その傲慢にどんな罰がふさわしいか、今ここで教えてやるところだ。
合唱隊 オイディプス様にも予言者にも、怒りから出た言葉があるように思えます。争っている場合ではありません。どうすれば神託を最もよく果たせるか、考えるべきです。
テイレシアス あなたが王でも、私には答える自由がある。その点では対等だ。私はアポロンだけに仕え、クレオンの部下ではない。 だから答えよう。あなたは私の目が見えないことをあざ笑った。だが、目のあるあなたは、自分がどんな苦しみに落ちているか、どこで、誰と暮らしているかが見えない。 自分の血筋を知っているか。知らない。知らぬまま、生きている身内にも、死んだ身内にも、二重の敵となっている。 父と母の呪いが、両側から切る刃のように、あなたをこの国の外へ追い出す。今は見えているその目も、やがて終わりのない闇を見る。 そのとき、あなたの叫びが届かない場所はあるだろうか。どんな婚礼によってこの家へ運ばれ、それがどれほど恐ろしい港だったかを知れば、キタイロンの岩という岩があなたの嘆きを響かせるだろう。 まだ思いもよらない災いの波が、あなたと子どもたちを同じ場所に立たせる。クレオンも私の言葉も、好きなだけあざ笑え。あなたほどひどく打たれる人間はいない。
オイディプス この男の無礼を我慢しろというのか。消え失せろ。今すぐ立ち去れ。二度とこの敷居を越えるな。
テイレシアス 呼ばれなければ、来なかった。
オイディプス そんな愚かなことを言うと知っていたなら、いつまでも呼ばずにいた。
テイレシアス あなたには愚かに見えるだろう。だが、あなたを生んだ父母には、私は賢い。
オイディプス 父母だと。誰が私を生んだ。言え。
テイレシアス 今日という日は、あなたを生み、あなたを滅ぼす。
オイディプス お前はいつも、謎めいた暗い言葉ばかり話す。
テイレシアス 謎を解くことでは、あなたが一番ではなかったか。
オイディプス 私を偉大にした力をあざ笑うがいい。
テイレシアス その力こそ、あなたを滅ぼした。
オイディプス この国を救ったのなら、それでよい。
テイレシアス もう行く。少年よ、家へ連れて帰ってくれ。
オイディプス 早く連れていけ。目の前にいるだけで邪魔だ。去れば、もう私を苦しめられない。
テイレシアス 去る前に、何のために来たか言っておこう。あなたの顔色など恐れない。私を傷つけることはできない。 長いあいだ、脅しと布告で捜してきたライオス殺しは、この国にいる。今はよそ者と思われているが、まもなくテーベに生まれた者だと分かる。それを知っても、喜びはない。 今は目が見え、王の衣を着ているが、やがて目が見えず、物乞いの服を着て、杖を頼りに異国へ向かう。 家にいる子どもたちにとって、自分が兄であり父であると分かる。自分を生んだ女にとって、息子であり夫である。父の妻を共有し、父を殺した者であると。 中へ入り、この言葉を考えるがいい。私が誤っていると分かったなら、そのときから、私には予言の知恵がないと言え。
〔テイレシアスとオイディプスが去る。〕
0411
第一スタシモン
第一スタシモン 第463–512行
合唱隊
第一の歌 デルポイの岩の奥から、不滅の声が名指した者は誰なのか。 口にもできない、恐ろしい血の罪を犯した者は誰なのか。 その者には、嵐より速い馬よりも、さらに速く逃げる足が必要だ。 父ゼウスの稲妻を手にしたアポロンが、すぐ後ろまで追っている。 運命の女神たちも、獲物の匂いを追う犬のように迫る。
第一の返し歌 今、雪に覆われたパルナッソスの峰から、命令が光のように走った。 「まだ見つからない殺人者を、近くにも遠くにも捜せ」 犯人は不機嫌な牡牛のように、 森の茂みや山の林をさまよっているのだろう。 だが、逃げようとしてもむだだ。 大地の中心にある神殿から放たれたアポロンの声が、 頭上を離れず、復讐を求めて追っている。
第二の歌 優れた予言者の言葉に、私は激しく迷っている。 真実なのか、偽りなのか。分からず、恐れて口を閉ざす。 疑いに心が揺れ、今のことも、これからのことも見えない。 ラブダコスの家と、ポリュボスの子であるわが王との間に、 昔も近ごろも、争いがあったとは知らない。 証拠がないのに、どうして王の名誉を疑えるだろう。 手がかりのない血の罪をめぐり、どうして争いに加われるだろう。
第二の返し歌 ゼウスとアポロンはすべてを知り、何ものも隠せない。 神々である二柱は、人間の考えを超えている。 しかし、一人の人間である予言者が、私より多くを知るということは、どこで証明されたのか。 確かなしるしもなく、どうして王を責められるだろう。 翼ある謎の歌い手が来たとき、王はこの国を救った。 私たち皆の前で試され、純金のように真価を示した。 そのオイディプスに罪があるという言葉を、どうして今すぐ信じられるだろう。
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第二エペイソディオン
第二エペイソディオン 第513–862行
クレオン 友よ、同じ国に生きる人々よ。オイディプス王が私に、きわめて重い罪を負わせたと聞き、抗議するために来た。この災いの中で、私が言葉や行いによって王を傷つけたと思われているなら、汚名を着たまま長く生きたいとは思わない。 この中傷は、一つの過ちを責めるだけではない。私が国を裏切り、友である皆を裏切ったと、広く言い立てることで、私の名そのものを滅ぼす。
合唱隊 あの非難は、よく考えた言葉ではなく、腹立ちまぎれに飛び出したのかもしれません。
クレオン 予言者に偽りを言わせたのが私だと、誰かが言ったのか。
合唱隊 そのような言葉はありました。何を考えて言ったのかは分かりません。
クレオン そんな恐ろしい罪を私に負わせたとき、王の目も心も正気ではなかったのではないか。
合唱隊 分かりません。王のなさることを私が判断することはできません。ですが、ご本人が答えに来ました。
〔オイディプスが現れる。〕
オイディプス なぜここにいる。よくも私の家の前へ来られたものだ。この恥知らずめ。私を殺し、王冠を盗もうとする者よ。 答えろ。私に臆病さか愚かさを見つけたから、こんな企みを始めたのか。闇の中を忍び寄る蛇に気づかないほど単純で、見つけても打ちのめせないほど弱く見えたのか。 愚かなのはお前だ。支持する者も友もなく、王冠を手に入れようとするとは。王権は、人と富を集めてこそ得られるものだ。
クレオン 私の話も聞いてくれ。あなたは話した。今度は私が答える番だ。聞いたうえで判断してほしい。
オイディプス 口はよく回るな。だが私はお前の言葉を素直に聞けない。毒のある憎しみを、よく知ってしまったからだ。
クレオン まず、そのこと自体を論じさせてほしい。
オイディプス 自分は悪人ではない、などと言い張るな。
クレオン 道理を学ばず、かたくなであることを長所と思うなら、あなたは大きく誤っている。
オイディプス 身内を傷つけても罰を受けないと思うなら、お前こそ大きく誤っている。
クレオン それは正しい。だが、私がしたという傷とは何か、話してくれ。
オイディプス テイレシアスを呼ぶよう私に勧めたか。勧めなかったか。
クレオン 勧めた。今もその判断は変わらない。
オイディプス ライオスが暴力に奪われてから、どれほどたつ。
クレオン はるか昔、何年も前だ。
オイディプス あの予言者は、そのころも同じ仕事をしていたのか。
クレオン 今と同じく腕があり、同じように尊敬されていた。
オイディプス 当時、あの男が私について何か言ったか。
クレオン 私の知るかぎり、私のいる前では何も。
オイディプス 殺人の捜査はしなかったのか。
クレオン あらゆる手を尽くしたが、何も分からなかった。
オイディプス それなら、なぜ予言者はそのとき話さなかった。
クレオン 知らない。知らないことについては黙る。
オイディプス だが、これなら知っているはずだ。
クレオン 何だ。知っていることはすべて話す。
オイディプス お前がそそのかさなければ、あの予言者がライオスの死を私のせいにすることはなかった。
クレオン 予言者がそう言ったかは、あなたが一番よく知っている。今度は私から尋ねたい。
オイディプス 尋ねろ。私が殺人者だと証明できるものなら、してみろ。
クレオン では、あなたは私の姉と結婚したか。
オイディプス 否定できない明白な事実だ。
クレオン 王妃である姉は、あなたと王座を分け合っているか。
オイディプス 妻の望むものは、何でも喜んで与える。
クレオン そして私は、二人とともに権力を分け合っているか。
オイディプス そうだ。だからこそ、お前の裏切りが分かる。
クレオン そうではない。私が自分について考えたように、あなたも理を追って考えてほしい。 同じ力を持てるなら、誰が恐怖と苦労に満ちた王の暮らしを、安心して眠れる暮らしより選ぶだろう。私は王という名前を欲しいとは思わない。王と同じ働きができればよい。理性のある人なら、誰でもそう考える。 今の私は、あなたのおかげで必要なものをすべて得て、恐れるものがない。王になれば、自分の望みに反することも、何度も行わなければならない。限りない影響力という実物を持っているのに、王という影をつかむ理由がどこにある。 今は誰もが私に幸運を願い、親しく声をかける。あなたから恵みを得たい者は、まず私の耳を得ようとする。どうして良いものを捨て、悪いものを選ぶのか。それこそ狂気だが、私は狂っていない。 そのような野心に誘われたことも、企みに加わろうとしたこともない。 疑うなら、まずデルポイへ行き、私が神の答えを正しく報告したか確かめよ。次に、私が予言者と共謀したか調べよ。もし事実なら、あなただけでなく、私自身も死刑に賛成する。 だが、疑いだけで、弁明の余地もなく私を裁いてはならない。善人を悪人と決め、悪人を善人と決めることは、どちらも正しくない。 真の友を捨てるのは、自分が最も大切にする命を捨てるのと同じだ。時がたてば真実を知る。正しい人を明らかにするのは時間だけだが、悪人なら一日で見抜ける。
合唱隊 慎重に歩こうとする者には、もっともな言葉です。急いで決めるのは確かではありません。
オイディプス 企む者が素早く忍び寄るなら、私も素早く対抗しなければならない。何もせず襲われるのを待てば、あの男には成功、私には敗北が待つだけだ。
クレオン では、どうしたい。私を国から追放するのか。
オイディプス 追放ではない。死んでもらう。ねたみがどんな報いを受けるか、皆が見られるようにな。
クレオン 譲る気も、私を信じる気もないのだな。
オイディプス お前のような者を信じるのは、愚か者だけだ。
クレオン あなたには知恵がない。
オイディプス 少なくとも自分を守る知恵はある。
クレオン 私を守る知恵はなくてよいのか。
オイディプス 悪人を守れというのか。
クレオン もし、あなたの判断が誤っていたら。
オイディプス それでも王には従わなければならない。
クレオン 悪い支配をする王なら、従うべきではない。
オイディプス テーベの民よ、この男の言葉を聞け。
クレオン あなたの民だと。私もテーベ人ではないか。
合唱隊 お二人とも、やめてください。ちょうどよく、王妃イオカステが宮殿から来られます。この争いを和らげるのに、あの方ほどふさわしい人はいません。
〔イオカステが現れる。〕
イオカステ 分別を失ったお二人よ。なぜ言葉だけの争いを起こしたのです。国じゅうが打ちのめされているときに、個人の恨みを大声で言い合うことを恥じないのですか。 王よ、中へ入ってください。弟も家へ帰りなさい。小さな苦情を国じゅうの醜聞にしてはなりません。
クレオン 王家の姉上。夫オイディプスは、恐ろしい二つの道から一つを選べと言いました。罪人として死ぬか、追放されるかです。
オイディプス そのとおりだ。この男が卑劣な手で、王である私を陥れようとするところを捕らえた。
クレオン この罪に少しでも関わっているなら、私は何事にも成功せず、呪われて死ぬように。
イオカステ オイディプスよ、信じてください。これほど重い誓いをしたのだから。そして私のためにも、ここであなたを支える長老たちのためにも。
合唱隊 王よ、私たちの願いを聞き、よく考えてください。かたくなにならず、心を和らげてください。
オイディプス 何に同意しろというのだ。
合唱隊 これまで誠実さと忠義を知られ、今また誓いで確かめた人を尊重してください。
オイディプス 何を求めているか、分かっているのか。
合唱隊 分かっています。
オイディプス ならば、はっきり言え。
合唱隊 軽率な言葉で疑われた友に、汚名を着せないでください。誓いより疑いを重く見ないでください。
オイディプス それは、私の死か追放を求めることだと分かっているのか。
合唱隊 神々を率いる太陽に誓って、そのような考えはありません。 もし、そんな願いを抱いたことがあるなら、友もなく、恵みもなく、滅びますように。 ただ、傷ついた国を思うと、胸が荒れ果てるのです。 重なる苦しみの上に、お二人の争いまで加われば、 国は二重に倒れてしまいます。
オイディプス よい。この男を行かせよう。そのために私が死ぬことになっても、恥ずべき追放を受けてもかまわない。お前たちの願いだから譲るのであって、この男のためではない。どこへ行こうと、私は憎み続ける。
クレオン 譲るときにも不機嫌で、怒るときには乱暴だ。そのような気質は、何より本人を苦しめる。
オイディプス 私を放っておけ。早く去れ。
クレオン 行こう。あなたには誤解されたが、この人々には正しいと認めてもらった。
〔クレオンが去る。〕
合唱隊 王妃よ、夫を中へお連れください。なぜ、ここにとどまるのです。
イオカステ その前に、なぜ争いが始まったのか教えてください。
合唱隊 噂から不当な疑いが生まれ、不当な扱いが深い恨みを残しました。
イオカステ 二人とも悪かったのですか。
合唱隊 二人とも。
イオカステ どんな噂でした。
合唱隊 これ以上は尋ねないでください。国はひどく苦しんでいます。眠っている災いは、そのままにするほうがよいでしょう。
オイディプス 奇妙な忠告だ。私を思ってのことだと分かっているが、それでも私の決意を弱め、切っ先を鈍らせようとしている。
合唱隊 王よ、もう一度だけ言います。 危険にあった国があなたを求め、 あなたは乱れた国を静かな港へ導きました。 国を支えるあなたを、軽々しく捨てるなら、 私は心を失った愚か者です。 今、この国を正しく導けるのは、あなたをおいてほかにいません。
イオカステ 王よ、私にも教えてください。何が、これほど収まらない怒りを起こしたのです。
オイディプス お前はこの人々より私に近い。だから話そう。クレオンと、その企みが原因だ。
イオカステ 何が争いを起こしたのか、はっきり話してください。
オイディプス 私がライオスを殺した者だと言うのだ。
イオカステ 自分で知っていたのですか。それとも、人から聞いたのですか。
オイディプス 自分では責任を負わないよう、悪い予言者を口代わりにした。
イオカステ それなら、そのことで心を苦しめる必要はありません。よく聞いてください。人間には、本当の予言の力などないと証明してみせます。 以前、ライオスに一つの託宣が届きました。デルポイの神そのものからとは言いません。神に仕える者たちからです。 それは、私との間に生まれる息子の手で、ライオスが死ぬ運命だというものでした。 けれど、皆が伝えたところでは、ライオスは三本の道が交わる場所で、よその国の盗賊たちに殺されました。 子どものほうは、生まれて三日もたたないうちに、ライオスが両足首を貫いて縛り、人に命じて、道もない山に捨てさせました。 だからアポロンは、子が父を殺すことも、ライオスが息子の手で死ぬという恐ろしい予言も実現させなかった。 予言など、その程度のものです。気にしてはなりません。神が明らかにしたいことは、神自身が人の助けなしに示すでしょう。
オイディプス お前の話を聞いて、記憶がよみがえり、心が激しく乱れる。
イオカステ どういうことです。何に驚き、動揺しているのです。
オイディプス ライオスが三本の道の交わるところで殺されたと、お前は言った。
イオカステ そう伝えられ、今も皆がそう言っています。
オイディプス それはどこだ。場所を知っているか。
イオカステ フォキスという土地です。デルポイへ行く道と、ダウリアへ行く道が分かれるところです。
オイディプス その出来事から、どれほどたつ。
イオカステ あなたがこの国の王となる少し前に、知らせが届きました。
オイディプス ゼウスよ。私に何をしようというのだ。
イオカステ オイディプス、どうしてそんなに取り乱すのです。
オイディプス まだ尋ねないでくれ。ライオスの体つきと背の高さを教えてほしい。まだ壮年だったか。
イオカステ 背が高く、髪に白いものが少し交じっていました。姿は、あなたとそれほど違いません。
オイディプス ああ。何も知らず、自分に恐ろしい呪いをかけてしまったらしい。
イオカステ 何を言うのです。あなたの顔を見ると、私まで震えます。
オイディプス 最後には、あの予言者が見えていたと分かるのではないか。疑いを晴らすため、もう一つ尋ねたい。
イオカステ 恐ろしいけれど、尋ねてください。すべて答えます。
オイディプス ライオスの供は少なかったか。それとも王らしく、武装した大勢を連れていたか。
イオカステ 全部で五人でした。一人は伝令で、ライオスはラバの引く車に乗っていました。
オイディプス ああ、もう昼の光のようにはっきりした。誰がその話をテーベへ持ち帰った。
イオカステ ただ一人生き残って戻った召使いです。
オイディプス その者は今、この家にいるのか。
イオカステ いいえ。帰ってきて、亡くなったライオスに代わってあなたが王になったのを見ると、私の手を取って頼みました。テーベから最も遠い山の牧場へ送ってほしいと。 私はその願いをかなえました。誠実な召使いでしたから、もっと大きな報いを受けてもよいほどでした。
オイディプス すぐ連れてきてくれ。会わなければならない。
イオカステ 連れてきます。ですが、なぜ呼ぶのです。
オイディプス 私は考えずに話しすぎたのではないかと恐れている。だから、その者に尋ねたい。
イオカステ 分かりました。けれど、あなたの心の重荷を、私にも分けてくれませんか。
オイディプス ここまで疑いが進んだ以上、隠しはしない。私の恐ろしい道のりを聞くのに、お前ほどふさわしい者はいない。 私の父はコリントスのポリュボス、母はドリス人のメロペだ。私は町で第一の者と見なされていた。ところが、奇妙な出来事が起きた。後に起きた騒ぎほどの価値もない、ただの出来事だった。 酒宴で酔った男が、「お前は父の本当の子ではない」と叫んだのだ。その場では怒りをこらえた。翌日、父と母を訪ねて問いただした。 二人は、私の生まれに投げつけられた根拠のない侮辱に腹を立て、できるかぎり慰めてくれた。それでも毒の矢は心に刺さったままだった。噂は広がり続けた。 そこで私は両親に告げず、ひそかにデルポイへ行った。だがアポロンは、知りたかったことには答えず、別の恐ろしいことを告げた。 私は母の寝床を汚し、見るに耐えない子をもうけ、自分を生んだ父を殺すというのだ。 それを聞いた私は、コリントスの土地から逃げた。予言が実現しないよう、星だけを頼りに、国から遠く離れて生きるつもりだった。 そして、さきほどお前が話した三本の道へ近づいた。そこへ伝令と、若い馬の引く車に乗った男が来た。 前を歩く御者と、車の老人が、私を道から乱暴に押しのけようとした。御者がぶつかってきたので、私は怒って打った。 老人は、私が車のそばを通るのを待ち、先が二つに分かれた突き棒を、真上から私の頭へ振り下ろした。 だが私は、それ以上に打ち返した。杖で一度殴ると、老人は車の座から仰向けに落ちた。私はその一行を全員殺した。 あの見知らぬ男とライオスが同じ者なら、私より惨めな人間がいるだろうか。私より神々に憎まれた者がいるだろうか。 旅人も市民も家に入れてはならず、話しかけてもならず、すべての家から追い出さなければならない男。その呪いを私にかけたのは、ほかならぬ私自身だ。 私は血に染まったこの手で、殺した男の寝床を汚している。 私は卑しい者ではないか。完全に穢れた者ではないか。 私は追放され、愛する人々を二度と見ることができず、故郷の土を二度と踏めない運命なのか。それとも、母と結婚し、私を生み育てた父ポリュボスを殺すのか。 人ならぬ力がこんなことを仕組んだと言う者がいても、誰が責められるだろう。 清らかで恐ろしい神々よ、その日を見せないでください。そのような汚れが私に刻まれる前に、人の世から消え去らせてください。
合唱隊 王よ、私たちも心配です。けれど、生き残った者に尋ねるまでは、希望を持ってください。
オイディプス 希望はかすかだ。それでも、その牧人が来るのを待つだけの希望は残っている。
イオカステ その者が来たら、何を知りたいのです。
オイディプス 彼の話がお前の話と同じなら、私は災いを免れる。
イオカステ 私が言ったことの、どこが重要なのです。
オイディプス 牧人は、ライオスが盗賊たちに殺されたと言ったのだな。今も「一人」ではなく「大勢」と言うなら、私が殺したのではない。一人と大勢が同じであるはずはない。 だが、ただ一人の旅人だったと言えば、私の罪をつなぐ最後の輪が閉じる。
イオカステ 安心してください。最初からそう話していました。今になって取り消すことはできません。私だけでなく、町じゅうの人が聞いています。 話が少し変わったとしても、ライオスの死を神託どおりにすることはできません。 アポロンは、ライオスが私の子の手で死ぬと、はっきり言いました。ですが、その気の毒な赤子は誰の血も流さず、父より先に死んだのです。 予言とはその程度です。これから私は、右にも左にも、しるしを探したりはしません。
オイディプス もっともな考えだ。それでも使いを送り、召使いをここへ連れてきてくれ。
イオカステ すぐにそうします。中へ入りましょう。あなたが望まないことをするつもりはありません。
〔オイディプスとイオカステが宮殿へ入る。〕
0611
第二スタシモン
第二スタシモン 第863–910行
合唱隊
第一の歌 どうか私は、言葉にも行いにも神を恐れ、 汚れのない生を送れますように。 高い天から生まれた法に、いつまでも従えますように。 その法を生んだのは、人間ではない。 オリュンポスだけが、その父である。 忘却の中で眠ることはなく、 内に宿る神の力は強く、老いることがない。
第一の返し歌 傲慢から、暴君は生まれる。 むなしい富を飽きるほど詰め込んだ傲慢は、 切り立った高みを登り、王座をつかむ。 だが、足を置く場所のない峰から転げ落ち、 身を起こせず、滅びの中に横たわる。 国のため、優れた働きをしようと燃える人を、 天よ、どうか守ってください。 神こそ私の助け、私の希望。私は神を待つ。
第二の歌 正義に従わず、神像をまつる場所も敬わない。 言葉や行いで思い上がる罪人を、滅びが捕らえますように。 聖なるものに不敬な手を伸ばし、 汚れた欲に駆られて、不正な利益をつかむ者を。 そのようなことをして、天の稲妻を逃れられる者がいるだろうか。 罪が尊敬を得るというのなら、 なぜ私はまだ踊り、聖なる歌を歌うのか。
第二の返し歌 神の真実が、すべての人の前で明らかにされないなら、 私はもう、大地の中心にある神託所へ行かない。 アバイの聖所へも行かず、オリュンピアへ供え物も運ばない。 ゼウスよ、昔と同じく全能で、すべてを見る王と呼ばれるのなら、 その力を示してください。 ライオスのことは忘れられ、 その運命を語った言葉を、誰も重く見ない。 アポロンは見捨てられ、信仰が冷えてゆく。
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第三エペイソディオン
第三エペイソディオン 第911–1085行
〔イオカステが供え物と香を手に現れる。〕
イオカステ 長老の皆さん。王妃が供え物を持って現れたので、驚いているのでしょう。 私は高い神殿へ祈りに行こうと思いました。オイディプスは、さまざまな恐怖に追いつめられています。理性のある人のように過去の経験から今を判断せず、悪い予言をする者の言葉なら、誰の話でも聞いてしまいます。 私の助言が役に立たないので、災いの中で今すぐ頼れる、リュキアの主アポロンよ、あなたに祈りと願いを持ってきました。 どうか私たちを明るい方へ導き、この呪いから清めてください。嵐の中で舵を取る人が言葉を失った船員のように、私たちは皆、恐れています。
〔コリントスからの使者が現れる。〕
使者 皆さん、オイディプスの宮殿はどこです。いや、王ご自身がどこにいるか教えてください。
合唱隊 宮殿はここです。王は中にいます。こちらが王妃で、王の子どもたちの母です。
使者 王妃とこの家に、いつまでも幸福がありますように。夫にも、その婚姻にも、恵みがありますように。
イオカステ 旅の方、その親切な言葉に、こちらからもご挨拶を返します。何を求め、どんな知らせを持って来たのですか。
使者 王と王家にとって、良い知らせです。
イオカステ どんな知らせです。誰の使いで来たのです。
使者 イストモスの民が、あなたの夫を王にすると決めました。コリントスでは、そう伝えられています。
イオカステ 年老いたポリュボスが、今も王ではないのですか。
使者 違います。あの方は亡くなり、墓の中です。
イオカステ オイディプスの父が亡くなったのですか。
使者 偽りなら、私が死にます。
イオカステ 侍女よ、急いで王に知らせなさい。 神々から来たという託宣よ、今どこにいるのです。 オイディプスは、自分が殺すことを恐れて、この人を長く避けていました。けれど父は、息子の手ではなく、自然に命を終えたのです。
〔オイディプスが現れる。〕
オイディプス 妻よ、王妃イオカステよ。なぜ宮殿から私を呼んだ。
イオカステ この方の話を聞いてください。そして、あれほど恐ろしげだった神託がどうなったか、あなた自身で判断してください。
オイディプス この人は誰で、どんな知らせを持ってきた。
イオカステ コリントスから来た方です。あなたの父ポリュボスが亡くなったと知らせに来ました。
オイディプス 何だと。旅の方、あなたの口から聞かせてくれ。
使者 疑いなくはっきり言う必要があるなら、ポリュボスは亡くなりました。
オイディプス 誰かに殺されたのか。病気か。
使者 年老いた人は、わずかな一撃で眠りにつくものです。
オイディプス 気の毒に。病で亡くなったのか。
使者 はい。命に定められた年月を、すべて生きて。
オイディプス それなら、デルポイの神殿や、空で鳴く鳥を、なぜ気にかける必要がある。 予言は、私が父を殺すと示していた。だが父は死んで墓に入り、私はここにいて、剣を抜いたこともない。 離れた息子を恋しく思って死んだのなら、ある意味で私が殺したとも言えるかもしれない。だが、実際の神託は死んだ。塵と灰になり、何ものでもなくなった。ポリュボスと同じく死んだ。
イオカステ ずっと前から、そうなると言っていたでしょう。
オイディプス お前は言っていた。私は恐怖に惑わされていた。
イオカステ もう、そのことを心の重荷にしてはなりません。
オイディプス だが、母の寝床を恐れずにいられるだろうか。
イオカステ 先のことを確かに知る力もなく、偶然に翻弄される人間が、なぜ恐れるのです。先を心配せず、その日その日を生きるのが一番です。 母との結婚など恐れないでください。夢の中で母と結婚する男はいくらでもいます。そんな気の迷いを最も気にしない人が、最も安らかに生きるのです。
オイディプス 母が生きていなければ、お前の確信にすべて同意できただろう。だが生きているかぎり、半分は納得しても、恐れは残る。
イオカステ それでも父の死は、暗闇に大きな光を当てたでしょう。
オイディプス 大きな光だ。だが私は、生きている母を恐れている。
使者 あなたがそれほど恐れる女性とは、どなたです。
オイディプス ポリュボスの妻、メロペだ。
使者 その方の何が、恐ろしいのです。
オイディプス 天から下った、恐ろしい神託だ。
使者 秘密ですか。それとも、よそ者が聞いてもよい話ですか。
オイディプス 秘密ではない。アポロンはかつて、私が自分の母と結ばれ、自分の手で父の血を流すと予言した。 そのためコリントスは、長いあいだ遠い故郷となった。私は異国をさまよい、父母の顔という最も懐かしいものを見ることができなかった。
使者 その恐れのため、故郷を離れたのですか。
オイディプス そうだ。父を殺すことを恐れて。
使者 王よ、私はあなたを喜ばせるために来たのです。では、そのもう一つの恐れも取り除きましょう。
オイディプス そうしてくれるなら、十分に報いよう。
使者 正直に言えば、あなたが故郷へ戻れば、私にも利益があると思って来ました。
オイディプス いや、私は二度と父母のそばへ行かない。
使者 あなたは、自分が何をしているか分かっていません。
オイディプス どういうことだ。神にかけて、すべて話してくれ。
使者 そのために帰るのを恐れているのなら、ということです。
オイディプス 神の言葉が私の身に実現するのを恐れている。
使者 父母との間に、呪いが生まれることを恐れて。
オイディプス それだけが、いつも私を恐れさせる。
使者 その恐れには根拠がないと、ご存じないのですか。
オイディプス 私が二人の実の子なら、なぜ根拠がない。
使者 ポリュボスとあなたには、血のつながりがまったくないからです。
オイディプス 何だと。ポリュボスは私の父ではないのか。
使者 私があなたの父でないのと同じです。
オイディプス 私の父が、赤の他人と同じだというのか。
使者 私もポリュボスも、あなたをもうけてはいません。
オイディプス それなら、なぜ私を息子と呼んだ。
使者 あなたは、私の手からポリュボスへ贈られたのです。
オイディプス 実の子でないのに、あれほど愛してくれたのか。
使者 それまで子がなかったので、あなたに深い愛情を注いだのです。
オイディプス では、私は拾われた子か、買われた奴隷だったのか。
使者 キタイロンの森に覆われた谷で、あなたを見つけました。
オイディプス なぜ山の谷など歩いていた。
使者 山の羊の群れを世話するのが仕事でした。
オイディプス 雇われて土地を渡り歩く牧人だったのか。
使者 そうです。けれど、そのときはあなたの命を救った者でした。
オイディプス 救ったとは、どんな危険からだ。私はどうなっていた。
使者 その足首の関節が証拠です。
オイディプス ああ、なぜ昔の傷を思い出させる。
使者 私は、あなたの両足を貫いていた留め金を外しました。
オイディプス ゆりかごのころから、その恐ろしい傷を負っていた。
使者 その傷から、今も使うあなたの名がついたのです。
オイディプス 誰がそんなことをした。父か、母か。頼む、話してくれ。
使者 分かりません。あなたを私に渡した男なら、もっと知っているでしょう。
オイディプス お前が見つけたのではなく、別の者から受け取ったのか。
使者 そうです。別の牧人から渡されました。
オイディプス 誰だ。見れば分かるか。
使者 ライオスの家に仕える者だと言っていました。
オイディプス 昔、この国を治めた王か。
使者 そのライオスです。男は王の家畜を飼う者でした。
オイディプス まだ生きているか。会えるだろうか。
使者 この国の人々が、よく知っているはずです。
オイディプス ここにいる者の中に、この人が話す牧人を知る者はいないか。野でも町でも、見たことのある者は、すぐ答えよ。この謎を明らかにするときが来た。
合唱隊 それは、さきほど王が会いたいと言っていた召使いでしょう。王妃イオカステが一番よくご存じのはずです。
オイディプス 王妃よ、私たちが呼びにやった男を知っているな。この人の言う男と同じか。
イオカステ 誰のことでもよいではありませんか。気にせず、放っておいてください。そんなむなしい言葉を考えるのは、時間のむだです。
オイディプス いや、これほどの手がかりがあれば、自分の出生の秘密を必ず明るみに出せる。
イオカステ 自分の命が大切なら、もう調べるのをやめてください。私の苦しみだけで十分です。
オイディプス 安心しろ。たとえ私が奴隷の女の子で、三代にわたって奴隷の血を引いていたとしても、お前の名誉は汚れない。
イオカステ それでも、私の願いを聞いてください。調べてはなりません。
オイディプス できない。最後まで確かめる。
イオカステ あなたのためを思い、一番よいことを勧めているのです。
オイディプス その「一番よいこと」には、もう我慢できない。
イオカステ ああ。自分が誰なのか、どうか決して知りませんように。
オイディプス 誰か、牧人をここへ連れてこい。あの女には、高貴な家柄を誇らせておけばよい。
イオカステ ああ、かわいそうな人。あなたにかける最後の言葉は、それだけです。これから先、私はもう何も言いません。
〔イオカステが宮殿へ去る。〕
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第三スタシモン
第三スタシモン 第1086–1109行
合唱隊 オイディプスよ。王妃はなぜ、心を刺す悲しみに駆られ、あのように去ったのでしょう。 この死んだような静けさから、災いの嵐が吹き出すのではないかと恐れます。
オイディプス 嵐なら吹き出すがいい。私の生まれがどれほど低くても、自分の血筋を知るという決意は変わらない。 あの女は、女にありがちな誇りから、私の卑しい生まれを恥じているのかもしれない。 だが私は、幸運の女神の恵まれた子だと思っている。だから恥じることはない。 幸運が私の母で、満ち欠けする月々は私のきょうだいだ。その月とともに、私も栄え、また衰えた。 そのように生まれた私が、なぜ出生をたどることを恐れる。何が分かっても、今の私を別の者にはできない。
合唱隊
歌 私の魂に予言の力があり、判断が誤っていないなら、 キタイロンよ、明日の満月が昇る前に、 私はあなたをオイディプスの乳母、育ての母と呼び、 王家を愛する山としてたたえるだろう。 踊りと歌が、あなたの誉れを歌うだろう。 アポロンよ、どうか私の言葉を喜んでください。
返し歌 王よ、あなたを生んだのはどのニンフ、どの女神だったのか。 父は人を超えた者だったに違いない。 山を歩くパンだったのか。 高地を愛するアポロンだったのか。 キュレネの主か、それとも冷たい山頂に住むディオニュソスか。 あるいはヘリコンの山のニンフが、 神々の喜びとなる赤子を産み、王を授けたのだろうか。
0911
第四エペイソディオン
第四エペイソディオン 第1110–1185行
オイディプス 長老たちよ。私はあの男に会ったことがないが、ずっと捜していた牧人が来たように思う。 あちらの年老いた使者と、同じ年月を重ねた姿をしている。それに、連れてくる者たちは、私の家の召使いだと分かる。 だが、昔あの牧人を見たことがあるなら、お前たちのほうが確かに分かるだろう。
合唱隊 覚えています。ライオスの家に仕えた、飾り気はないが、誰にも劣らず誠実な男です。
〔牧人が現れる。〕
オイディプス まず、コリントスから来た旅の方に尋ねる。この男で間違いないか。
使者 この男です。
オイディプス では老人よ、顔を上げ、私の問いにすべて答えよ。お前はかつて、ライオスの家に仕えたか。
牧人 はい。買われた奴隷ではなく、その家で生まれた奴隷でした。
オイディプス 何の仕事をしていた。
牧人 人生の大半を、羊の世話に使いました。
オイディプス 主にどこの牧場へ行った。
牧人 キタイロンと、近くの山々です。
オイディプス ならば、少なくとも噂では、こちらの男を知っているはずだ。
牧人 こちらの男とは。どういう人です。誰のことですか。
オイディプス ここにいる男だ。昔、会ったことがあるのではないか。
牧人 急に言われても、よく思い出せません。
使者 無理もありません、王よ。だが、鈍った記憶を呼び戻してみましょう。 私たちはキタイロンの山で一緒に群れを追いました。彼は二つの群れを、私は一つの群れを受け持ちました。 春から秋に星が昇るまで、それを三年続けました。冬になると、私は自分の羊を小屋へ、彼はライオスの囲いへ連れて帰りました。 今の話は、本当ですか。
牧人 ずっと昔のことですが、すべてそのとおりです。
使者 それなら、自分の子として育てるよう、私に赤子を渡したことを覚えていますね。
牧人 なぜ、そんなことを尋ねる。何の関係がある。
使者 友よ、あなたの前に立つこの人が、その赤子です。
牧人 災いがお前を襲え。余計なことを言うな。
オイディプス 待て、老人よ。この男を責めるな。罰を受けるべきなのは、お前の言葉のほうだ。
牧人 立派な王よ。私が何をしたというのです。
オイディプス 尋ねられた赤子について答えないことだ。
牧人 この男は、でたらめを言っているのです。愚か者のたわごとです。
オイディプス 素直に話せないなら、無理にでも話させる。
牧人 どうか、年寄りを乱暴に扱わないでください。
オイディプス この悪者を捕らえ、両腕を縛れ。
牧人 ああ、何をしたというのです。ほかに何を知りたいのです。
オイディプス この男の言う赤子を渡したのか。
牧人 渡しました。あの日に死んでいればよかった。
オイディプス 真実を話さなければ、今死ぬことになる。
牧人 けれど、話せばもっとひどく滅びます。
オイディプス まだ言葉を濁すつもりらしい。
牧人 もう、渡したと認めました。
オイディプス 赤子はどこから来た。お前の子か、それとも誰かから渡されたのか。
牧人 私の子ではありません。別の者から受け取りました。
オイディプス この町の誰だ。どの家からだ。
牧人 神にかけて、王よ。これ以上は尋ねないでください。
オイディプス もう一度尋ねさせれば、お前は死ぬ。
牧人 では言います。ライオスの家の子でした。
オイディプス 奴隷の子か。ライオスの血を引く子か。
牧人 ああ、言葉にしてはならない崖の縁に立っています。
オイディプス 私は聞いてはならない崖の縁にいる。それでも、聞かなければならない。
牧人 ライオス自身の子だと言われていました。ですが、宮殿の中にいるあなたの妻が、最もよく知っています。
オイディプス 妻が、お前に渡したのか。
牧人 そうです、王よ。
オイディプス 何のために。
牧人 殺すために。
オイディプス 実の母が。
牧人 恐ろしい予言を恐れたのです。
オイディプス どんな予言だ。
牧人 その子が父を殺すと言われました。
オイディプス それなら、なぜこちらの老人に渡した。
牧人 赤子がかわいそうだったからです。老人が自分の国へ連れて行くと思いました。 けれど、この人は赤子を救い、何よりひどい災いへ導いてしまった。 もしあなたが、この人の言うとおりの方なら、神よ、どうか憐れんでください。あなたは苦しむために生まれたのです。
オイディプス ああ。すべてが成し遂げられ、すべてが真実だった。 光よ。もう二度と、お前を見ない。 私は生まれによって呪われ、結婚によって呪われ、父を殺したことによって呪われた。三重に呪われた者だ。
〔オイディプスが宮殿へ駆け込む。〕
1011
第四スタシモン
第四スタシモン 第1186–1222行
合唱隊
第一の歌 短い命を生きる人の一族よ。 お前たちを、影のまた影より重いものとは思えない。 幸福を最も多く得た者でさえ、 手にするのは幸福に見える姿だけ。 ほんの一瞬で、夢は色あせ、消えてゆく。 オイディプスよ、あなたの痛ましい転落を見れば、 女から生まれた誰一人、幸福とは呼べない。
第一の返し歌 ゼウスよ、あの方は誰より優れた射手として、 すべての者を射越し、富と力という最高の賞を得た。 翼を持つ恐ろしい娘を倒し、その魔力を消した。 救い主として立ち上がり、国を守る堅い塔となった。 私たちはあなたを王と呼び、 強大なテーベを治める主として敬った。
第二の歌 運命の手は、なんと重いことか。 今、あなたより見捨てられた者がいるだろうか。 あなたより悲しい物語、恐ろしい境遇があるだろうか。 王冠を失ったオイディプスよ。 あなたのゆりかごは、そのまま婚姻の床になった。 一つの場所が、父と子の両方を受け入れた。 父が長く耕した畑は、 どうしてこれほどの罪を、黙って耐えることができたのか。
第二の返し歌 すべてを見る時が、隠れた罪を捕らえ、正義の前へ引き出した。 一つの寝床で、父と子が混じり合った罪を。 不運なライオスの子よ。 私は、あなたの顔を見ずにいられたならと思う。 死者に向けるように、あなたへ哀歌を歌う。 けれど真実を言えば、私はあなたのおかげで一度息を取り戻し、 今、あなたのために二度目の死を感じている。
1111
エクソドス
エクソドス 第1223–1530行
〔宮殿から第二の使者が現れる。〕
第二の使者 テーベの尊敬すべき長老たちよ。これから聞く行いと、目にする光景を思えば、どれほど嘆くことになるでしょう。 ラブダコスの一族を今も敬い、まことの意味でこの国を愛するなら、北の大河も、東の大河も、この家の血の汚れを洗い流すことはできません。 家が隠している災い、まもなく光の下へさらす災い。それは知らずに犯したものではなく、自分の意志で引き起こしたものです。 自分で自分につけた傷こそ、何より耐えがたい。
合唱隊 これまでの災いだけでも、涙と嘆きには十分すぎます。そのうえ、何があるのです。
第二の使者 話すのも、聞くのも、すぐ終わります。王妃イオカステが亡くなりました。
合唱隊 ああ、かわいそうな王妃。どのように亡くなったのです。
第二の使者 自ら命を絶ちました。皆さんはその場を見ていないので、恐ろしさのすべてを知ることはできないでしょう。それでも、覚えているかぎり、あの不幸な方の最期を話します。 激しく取り乱して玄関を通り抜けると、両手で髪をかきむしりながら、まっすぐ婚礼の部屋へ走りました。中へ入ると、後ろ手に扉を激しく閉めました。 遠い昔に亡くなった夫の名を呼び、「ライオス」と叫びました。その人との間にもうけた子、その子の手で父が殺され、母が息子との間に恐ろしい子どもたちを産むことになった、その子を思っていたのです。 そして、自分が二重の子を宿した婚姻の床を嘆きました。夫との間に夫を産み、子との間に子を産んだ床を。 その後、どのように最期を迎えたのか、私は見届けられませんでした。オイディプスが叫びながら飛び込んできたからです。私たちの目は、行き来する王へ向けられ、王妃の苦しみを最後まで見られませんでした。 王は歩き回り、「剣はどこだ」と叫びました。「妻でありながら妻でない女、私と私の子の両方を産んだ腹はどこだ」と。 狂乱する王を、人ではない何かが導いたのでしょう。少なくとも、そこにいた私たちの誰でもありません。 誰かに呼ばれたように、王は恐ろしい叫び声を上げて、両開きの扉へぶつかりました。留め金からかんぬきを引き抜き、部屋へ飛び込みました。 そこで私たちは、王妃が首に縄をかけ、宙につられているのを見ました。 それを見た王は、狂ったようにうなり、縄をほどきました。哀れな体が床に横たわった後に起きたことは、さらに恐ろしいものでした。 王は、王妃の衣を留めていた黄金の飾り針を引き抜き、高く掲げると、自分の両目に突き立てました。 「お前たちはもう、私が受けた災いも、私が行った罪も見ない。見てはならなかった者を見、知るべき者を見分けられなかった。これからは闇の中にいろ」 そのようなことを叫びながら、一度ではなく何度も、手を上げて目を突きました。そのたび、血がひげを濡らしました。一滴ずつ流れたのではありません。黒い雹のように、激しく降り注ぎました。 夫と妻、二人から湧き出た災いが、二人をともにのみ込みました。 今日まで、この家の名高い幸運は、本当に幸運と呼べたでしょう。けれど今日からは、悲しみ、嘆き、破滅、死、恥辱。名づけられる災いのすべてが、この家にあります。
合唱隊 王の苦しみは、今も休むことがないのですか。
第二の使者 「扉を開け、父を殺した者、母の恥を犯した者を、テーベの民すべてに見せろ」と叫んでいます。その恥ずべき言葉は、私の口では繰り返せません。 自分で国を追放され、みずから口にした呪いを家に残さないと誓っています。 ですが、力もなく、導く者もいません。その苦しみは、人が耐えられるものを超えています。 皆さん自身が、すぐ目にするでしょう。宮殿の扉が開きました。最も憎む人でさえ憐れむほどの、悲しい姿が現れます。
〔目を失ったオイディプスが現れる。〕
合唱隊 ああ、悲しい光景。私の目が見た中で、これより悲しいものはない。 どんな狂気が襲ったのか。 生涯あなたの周りを歩き回り、魔物のように跳びかかったのは何者なのか。 不幸な人よ。あなたの苦しみを、どうして見ていられるだろう。 見つめて、問い、知りたいことは多いのに、恐怖で顔をそむけてしまう。
オイディプス ああ、私はどこへ運ばれる。 私の声が、見捨てられた亡霊のように、空気の中へ飛び去ってゆく。 魔物が追い立てる。この先の終わりは、どこにある。
合唱隊 口にできないほど恐ろしく、目で見られないほど暗い終わりです。
オイディプス 闇、闇だ。恐ろしい闇が、死者を包む布のように私を覆い、霧と雲の中へ運んでゆく。 体を貫くこの苦痛は何だ。 記憶が突き刺す、この苦しみは何だ。
合唱隊 過去の災いと今の災い、その二つの重さを一度に感じるのも無理はありません。
オイディプス 友よ。今も変わらず、忠実で、親切でいてくれる。目の見えない私を気にかけてくれるのだな。 近くにいるのが分かる。目は失っても、その声を聞き分けられる。
合唱隊 恐ろしいことをした人よ。どうして自分の目を傷つけたのです。どんな魔物に追い立てられたのです。
オイディプス アポロンだ、友よ。アポロンがこの災いを実現させた。 だが目を打った手は私のものだ。ほかの誰でもない。 目で見ることに喜びがないのなら、なぜ見続ける必要がある。
合唱隊 ああ、その言葉のとおりです。
オイディプス 友よ。これから先、見るもの、聞く声、愛する人の手のどれが、私の心を喜ばせられる。 ためらわず、私を連れ去ってくれ。 すべての人の目から遠いところへ、この二重に呪われた者を。 神々に憎まれ、人に呪われた者を。
合唱隊 絶望するのも当然の、絶望的な境遇です。あなたの顔を見ずにいられたならと思います。
オイディプス 捨てられた赤子の恐ろしい足枷を外し、命を救った者に呪いを。 善意でしたことだろう。だが、あのまま置いてくれたなら、友も私も、これほどの苦しみを知らずに済んだ。
合唱隊 私も、そうであればと思います。
オイディプス そうであれば、父の血を流さず、母の寝床へ上がることもなかった。 私は汚れた腹から生まれた、怪物のような子だ。 私をもうけた父と同じ妻を持ち、その妻の子でもある。 これほどの苦しみを受けた人間が、オイディプスのほかにいただろうか。
合唱隊 目を失って生きるより、死ぬほうがよかったのではないでしょうか。この行いが正しかったとは言えません。
オイディプス 私のしたことは正しい。その確信を変えることはできない。もう議論はやめよう。 目が見えたなら、冥府で父にどんな目を向ければよいのか。かわいそうな母に、どんな目を向ければよいのか。 私は二人に、首をつっても償えない罪を犯した。 子どもを見ることは親の喜びだと言うか。私のように生まれた子どもたちを見ても、喜びにはならない。 この美しい町も、城壁も、神殿も、神々の像も、もう見られない。 かつてテーベで最も尊い者とされた私は、自分自身の判決によって、すべてから切り離された。 神が穢れた者と示し、ライオスの血を引くと分かった罪人を追い出せと、自分で布告したのだから。 自分でその烙印を押した私が、どうして皆の顔を見られる。 耳をふさぐ方法を知っていたなら、ためらわずそうしただろう。目も耳も閉じ、この惨めな体を牢獄にしただろう。悲しみの届かないところにいるのは、幸せだからだ。 キタイロンよ。なぜ私を受け入れた。なぜ、その場で殺さなかった。そうすれば、人々に出生の秘密を見せずに済んだ。 ポリュボスよ、コリントスよ、祖先の家と呼んでいた故郷よ。私は外からは美しい若木に見えたが、その芽の中には、ひどい腐敗が隠れていた。 今、その病は根にも実にも現れた。 三本の道よ。隠れた谷よ。林よ。道が三つに分かれる峠よ。お前たちは、私の血を飲んだ。この手が流した父の命を。 あのとき見た行いと、その後テーベへ来て行ったことを、覚えているか。 破滅をもたらす婚姻よ。お前は私を生み、私が生まれると、もう一度その種をまいた。 父、兄弟、子ども、花嫁、妻、母の血を、すべて混ぜ合わせた。 太陽の下で行われる、名を口にすることさえ汚らわしい罪のすべてを。 頼む。私をこの国から遠い、どこかへ隠してくれ。今すぐ殺すか、海の深いところへ投げ込み、誰の目にも見えなくしてくれ。 近くへ来て、この卑しい者に触れてくれ。恐れなくてよい。この罪の重荷は、私一人で背負うしかない。
〔クレオンが現れる。〕
合唱隊 クレオンが来ました。あなたに代わり、国を守る者として残ったただ一人の人です。願いを行い、助言を与えられるのは、あの方です。
オイディプス ああ、あの人にどんな言葉をかけられる。私を信じる理由が、どこにある。私はあれほど、憎しみをむき出しにした敵だった。
クレオン オイディプスよ。あざ笑いに来たのではない。過去の罪を責めに来たのでもない。 そこにいる者たちよ。人としての礼儀を感じないなら、せめて、すべてを見て、すべてを育てる太陽の光を敬え。 大地も、天の雨も、光も受け入れないほどの穢れを、覆いもせず、皆の前に置いてはならない。 すぐ中へ連れて行け。身内の災いを聞き、見るのは、身内だけにするのがふさわしい。
オイディプス 待ってくれ。高潔なお前が、卑しい私の前に来てくれたことは、思いもよらない喜びだった。 小さな願いを一つ聞いてほしい。自分のためではなく、お前のために願う。
クレオン 何をしてほしい。
オイディプス 一刻も早く、国境の外へ私を追い出してくれ。人の声が二度と届かない、広い荒野へ置いてくれ。
クレオン すでにそうしていただろう。だが、まず神に尋ねるべきだと思った。
オイディプス 神の意志は十分に示された。父を殺した悪人を滅ぼせと。私がその者だ。
クレオン 確かにそう言われた。だが、今の状況では、あらためて神に尋ねるほうがよい。
オイディプス これほどの者について、まだ神に尋ねるのか。
クレオン 今なら、あなたも神の言葉を信じるだろう。
オイディプス 信じる。だから、お前にへりくだって頼む。 中に横たわる女を、お前がよいと思うように葬ってくれ。兄であるお前が行うべき儀式だ。 そして、父祖の町テーベに、生きている私という重荷を背負わせないでほしい。 山へ住まわせてくれ。父と母が、私の墓として定めたキタイロンへ。二人が私を殺そうとした、その場所で死なせてくれ。 ただ、病気や、ありふれた偶然で死ぬことはないと分かっている。恐ろしい運命が定められていなければ、死から救われることもなかったはずだ。 私自身の運命は、なるようになればよい。 だが、子どもたちを頼む。息子たちのことは心配しなくてよい。男だから、どこへ行っても自分で生きていける。 けれど二人の娘は、まだ幼く、いつも私の食卓で隣に座り、同じ食べ物を分け、同じ杯から飲んでいた。 どうか世話をしてやってほしい。そして、できるなら、二人に触れ、嘆かせてほしい。 心の広い王子よ。目は見えなくても、手で触れることができれば、見えていたころと同じく、娘たちはまだ自分のものだと思える。
〔アンティゴネとイスメネが連れてこられる。〕
オイディプス 何だ。このすすり泣きは、私のかわいい娘たちのものか。 クレオンは私を憐れみ、愛する二人を連れてきてくれたのか。本当にそうなのか。
クレオン そうだ。昔から二人があなたの喜びだったことを知っていたので、連れてこさせた。
オイディプス 神がお前に恵みを与えるように。二人を連れてきてくれた報いとして、運命がお前を、私より優しく扱うように。 わが子らよ、どこにいる。この手で抱かせてくれ。 兄であり、父である者の手。この手が、かつて明るかった目を、光のない穴に変えた。 何も知らず、何も考えず、自分を生んだ女との間に、お前たちをもうけた男の手だ。 お前たちを見ることはできない。それでも、これからの日々を思えば、泣かずにはいられない。 人々から受ける侮りと傷を思う。どんな宴や祭りへ行っても、楽しんで帰ることはない。恥じて涙を流し、戻ってくるだろう。 結婚する年になっても、どんな求婚者が、私の子や孫までついて回る汚名を引き受けるだろう。 この家に、足りない恥があるだろうか。 「父は自分の父を殺した。自分が生まれた場所に種をまき、自分の母から、この娘たちをもうけた」 人々は、お前たちにそう言うだろう。 誰がお前たちと結婚する。誰もいない。かわいそうな娘たちよ、子を持たず、結婚もせず、衰えてゆくのだろう。 メノイケウスの子よ。二人の父となれるのは、もうお前だけだ。実の父も母も、二人にとって失われた。 身内である二人を、貧しく、結婚もできないまま、さまよわせないでくれ。私と同じ境遇に落とさないでくれ。 これほど幼く、お前以外のすべてを失った娘たちを、憐れんでほしい。 約束の手を差し出してくれ。 わが子らよ。理解できる年なら、もっと多くを話しただろう。 今は、これだけを祈ってほしい。暮らせる家を見つけ、心穏やかに生きられますように。父より幸福な人生を得られますように。
クレオン もう十分に泣いた。中へ入りなさい。
オイディプス つらくても、従わなければならない。
クレオン 何事にも、終わるときがある。
オイディプス 入ろう。だが、条件がある。
クレオン 条件を言いなさい。
オイディプス 私をこの国から追放してくれ。
クレオン それは私ではなく、神々に求めなさい。
オイディプス 私は神々に最も憎まれている。
クレオン ならば、すぐ願いはかなうだろう。
オイディプス 連れて行ってくれ。私は従う。
クレオン 来なさい。だが娘たちから手を放しなさい。
オイディプス この子たちまで奪わないでくれ。
クレオン 何もかも自分の思いどおりにしようとしてはならない。あなたを高く上げた力は、最後まであなたを救わず、かえって滅ぼしたのだから。
合唱隊 この国に生きるテーベの人々よ。見よ。これが、あの偉大なオイディプスだ。 スフィンクスの謎を解き、この国で最も強い者となった。 その名声をうらやましく見なかった者が、町に一人でもいただろうか。 だが今、これほど大きな災いの海に沈み、のみ込まれている。 だから、命の終わりを見るまでは、どんな人間も幸福と数えてはならない。 苦しみと悲しみを離れ、最後の安らぎへたどり着く、そのときまで。
