0107
第1書板 原初の水と怪物の軍団
天地未生
上なる天は、いまだその名を呼ばれず、下なる大地も、いまだ名を負っていなかったとき――神々を生んだ始源のアプスーと、そのすべてを産んだ母、混沌なるティアマトは、その水をひとつに混じり合わせていた。野はまだ形をなさず、沼地も見えなかった。神々はまだ誰ひとり呼び出されておらず、名を負う者はなく、運命は定められていなかった。
神々の誕生
そのとき、天のただ中に神々は創られた。ラフムとラハムが呼び出され〔以下欠損〕、幾つもの時が積み重なり〔以下欠損〕、ついでアンシャルとキシャルが創られ、彼らの上に〔欠損〕。日々は長く連なり、やがて〔欠損〕が現れ出た。彼らの子アヌは〔以下欠損〕。アンシャルとアヌは〔以下欠損〕。そして神アヌは〔以下欠損〕。ヌディンムドは、その父たち、おのれを生んだ者たちの〔欠損〕。あらゆる知恵に満ち、力はことのほか強く、並ぶ者はいなかった。こうして大いなる神々は打ち立てられた。
アプスーの謀議
だがティアマトとアプスーは、なお乱れのうちにあり〔以下欠損〕、かき乱されて〔以下欠損〕。アプスーの力は衰えず〔以下欠損〕、ティアマトはうなり声を上げた〔以下欠損〕。彼女は打ちかかり、彼らのなすことは〔欠損〕、その道は悪しきものだった。
そのとき、大いなる神々を生んだアプスーは、侍臣ムンムを呼んで言った。「わが心を喜ばせる侍臣ムンムよ、来い、ティアマトのもとへ行こう」。ふたりは行ってティアマトの前に身を横たえ、神々なるその子らへの手立てを謀った。アプスーは口を開き、輝くティアマトに言葉をかけた。「〔欠損〕彼らのやりよう〔欠損〕。昼はわたしに憩いがなく、夜は安らかに横たわることもできない。ゆえにわたしは彼らのやりようを打ち滅ぼそう〔以下欠損〕。嘆きの声を上げさせて、われらはふたたび安らかに横になろうではないか」
ティアマトはこの言葉を聞くと、怒り狂って声を上げ、〔欠損〕激しく〔欠損〕、呪いの言葉を吐いてアプスーに言った。「それなら、われらはどうしよう。彼らのやりように苦難を課して、われらは安らかに横になろうではないか」
ムンムは答えて、アプスーに進言した。その進言は、神々に敵意をむけるものだった。「来られよ。彼らのやりようは強固ですが、あなたはそれを打ち壊しなさい。そうすれば昼には憩いを得、夜には安らかに横たわれましょう」。アプスーはこれに聞き入り、その顔は明るく輝いた。神々なるおのれの子らへの悪事を、ムンムが謀ったからである。
神々の恐れとエアの察知
〔欠損〕彼は恐れ〔以下欠損〕、その膝は萎え、崩れ落ちた。彼らの初子が謀った悪事のゆえに。〔欠損〕彼らの〔欠損〕を変え〔以下欠損〕。嘆きの声〔欠損〕、彼らは悲しみに沈んで座った。
そのとき、あるものすべてを知る者エアが昇りゆき、彼らのたくらみのうなりを見抜いた。〔以下は断片のみ。「その清らかな呪文」「悲惨」といった語が読み取れる〕
欠損(68〜82行)
(石碑の磨滅により欠損)
ティアマトへの唆し
〔断片。「神アヌ」「仇を討つ者」「彼はティアマトをかき乱すだろう」「とこしえに」「災い」といった語が読み取れる〕
そして誰かがティアマトに語った。「〔欠損〕彼は打ち勝ち、〔欠損〕彼は泣いて、苦悶のうちに座っています。〔欠損〕恐れの〔欠損〕、われらは安らかに横になれません。〔欠損〕アプスーは荒らされ、〔欠損〕ともに捕らえられたムンムも。〔欠損〕あなたは〔欠損〕。われらを安らかに横にならせてください。〔欠損〕あなたこそ、彼らの仇を討ってください。〔欠損〕嵐に向かって、あなたは〔欠損〕」
ティアマトはこの輝ける神の言葉に聞き入って言った。「〔欠損〕をおまえに委ねよう。いざ、戦を起こそうではないか」。〔欠損〕神々は〔欠損〕のただ中で〔欠損〕。神々のために彼女は創り出した。
怪物の軍団とキングウ
神々は徒党を組み、ティアマトの傍らに進み出た。夜昼となく休みなく悪事を企て、いきり立ち、荒れ狂って戦支度を整え、力を合わせて戦を起こした。
万物を形づくったウンム・フブルは、何ものにも敵しえぬ武器を加えて鍛え、怪物の大蛇どもを産み落とした。歯は鋭く、牙は容赦を知らない。その体には血の代わりに毒を満たし、猛る毒蛇どもに戦慄をまとわせ、輝きで飾り、丈高く造り上げた。見る者は恐怖に打たれ、その身はそそり立ち、誰もその攻めに耐えられない。彼女はさらに毒蛇と、竜と、怪物ラハムと、暴風と、猛り狂う犬と、蠍人間と、荒ぶる大嵐と、魚人間と、牡羊を立てた。彼らは残忍な武器を帯び、戦いを恐れない。彼女の命令は強大で、誰も逆らえない。このようにして、丈高い怪物を十一種そろえた。
そして、おのれを支えた子なる神々のうちからキングウを高め、彼らのただ中で権力の座に就けた。軍列の先頭を行くこと、軍勢を率いること、戦いの合図を上げること、攻めの先陣を切ること、戦いを指揮し、統べること――それらを彼に委ね、贅を尽くした衣で座に就かせて言った。「わたしはおまえのために呪文を唱え、神々の集いでおまえを高めた。すべての神々への支配権をおまえに委ねた。高くあれ、わが選びの夫よ。アヌンナキのすべての上に、彼らがおまえの名を大きく呼ばわるように」。彼女は天命の書板を彼に授け、その胸に置いて言った。「おまえの命令はむなしからず、その口の言葉は必ず立つ」。
こうして高められたキングウは、アヌの権能を受け、子なる神々のあいだで運命を定めて言った。「おまえたちの口を開けば、火の神も消えよう。戦いに秀でた者は、その力を示すがよい」
0207
第2書板 マルドゥクの名乗り
エアの報告
ティアマトはおのれの手業を重々しくととのえ、神々なるその子らに向けて悪をたくらんだ。アプスーの仇を討つために、ティアマトは悪意を凝らした。だが、彼女が軍勢を集めたことは、エアのもとへ漏れ聞こえた。
エアはこの事を聞くと、深い痛手を負い、悲しみに沈んで座った。日々が過ぎ、怒りが静まると、彼は父アンシャルのところへ道をとった。おのれを生んだ父アンシャルの前に立ち、ティアマトの謀りごとのすべてを告げた。
「ティアマト、われらの母は、われらへの憎しみを抱きました。ありったけの力で猛り、怒りに満ちています。神々はこぞって彼女のもとへ走り、あなたがたの創られた神々までも、その傍らに従いました。彼らは徒党を組んでティアマトの側に進み、夜昼となく休みなく悪事を企て、いきり立ち、荒れ狂って戦支度を整え、力を合わせて戦を仕掛けようとしています。万物を形づくったウンム・フブルは、何ものにも敵しえぬ武器を加えて鍛え、怪物の大蛇どもを産み落としました。歯は鋭く、牙は容赦を知りません。体には血の代わりに毒を満たし、猛る毒蛇どもに戦慄をまとわせ、輝きで飾り、丈高く造り上げました。見る者は恐怖にのまれ、その身はそそり立ち、誰もその攻めを防げません。毒蛇と、竜と、怪物ラハムと、暴風と、猛り狂う犬と、蠍人間と、荒ぶる大嵐と、魚人間と、牡羊とを立てました。彼らは残忍な武器を帯び、戦いを恐れません。彼女の命令は強大で、誰も逆らえません。このようにして、丈高い怪物を十一種そろえたのです。
そして、おのれを支えた子なる神々のうちからキングウを高め、彼らのただ中で権力の座に就けました。軍列の先頭を行くこと、軍勢を率いること、戦いの合図を上げること、攻めの先陣を切ること、戦いを指揮し、統べること――それらを彼に委ね、贅を尽くした衣で座に就かせて言いました。『わたしはおまえのために呪文を唱え、神々の集いでおまえを高めた。すべての神々への支配権をおまえに委ねる。高くあれ、わが選びの夫よ。彼らがおまえの名をすべての者の上に大きく呼ばわるように』。天命の書板を彼に授けて胸に置き、『おまえの命令はむなしからず、その口の言葉は必ず立つ』と言いました。こうして高められたキングウは、アヌの権能を受け、彼女の子なる神々のために運命を定めて言いました。『おまえたちの口を開けば、火の神も消えよう。戦いに秀でた者は、その力を示すがよい』」
アンシャルの嘆きとアヌの敗走
アンシャルは、ティアマトが激しく反旗を翻したさまを聞くと、唇を噛み、心は安らがず、苦い嘆きの声を上げた。「〔欠損〕戦を〔欠損〕。ムンムとアプスーはおまえが討った。だがティアマトはキングウを高めた。彼女に立ち向かえる者がどこにいよう」〔約10行欠損〕
アンシャルはわが子に言葉をかけた。「〔欠損〕わが強き勇士よ。その力は大きく、その突撃を防ぐことはできない。行け、ティアマトの前に立て。その霊が鎮まり、その心が和らぐように。だがもし彼女がおまえの言葉に耳を貸さないなら、われらの言葉を告げよ。彼女が静まるように」。
アヌは父アンシャルの言葉を聞き、彼女への道をまっすぐに進んだ。だが、アヌは近づいてティアマトのうなりを見てとると、立ち向かうことができずに引き返した。〔以下、断片のみ〕
欠損(86〜103行)
(石碑の磨滅により欠損)
マルドゥクの条件
〔断片。「仇を討つ者」「勇ましき」といった語が読み取れる〕その決断の場で、彼はマルドゥクに語った。「〔欠損〕おまえの父。おまえはわが子、その心を慈しみ深くする者。〔欠損〕戦いへと近づけ。〔欠損〕おまえを見る者は平安を得るだろう」。
主はその父の言葉に喜び、進み出てアンシャルの前に立った。アンシャルは彼を見ると、心は喜びに満ちた。その唇に口づけすると、恐れは彼から去った。
「父よ、あなたの唇の言葉をむなしくはさせません。わたしを行かせてください。あなたの心にあるすべてを、わたしが成し遂げます。アンシャルよ、あなたの唇の言葉をむなしくはさせません。わたしを行かせてください。あなたの心にあるすべてを、わたしが成し遂げます」
「何者がおまえを戦いへ送り立てたと思うのか。〔欠損〕ティアマトは、女の身でありながら、武器をとっておまえに向かって来るのだ。〔欠損〕喜べ、楽しめ。おまえはやがて、ティアマトの首を速やかに踏みつけるであろう。喜べ、楽しめ。おまえはやがて、ティアマトの首を速やかに踏みつけるであろう。わが子よ、あらゆる知恵を知る者よ、清らかな呪文でティアマトを鎮めよ。速やかに道を進め。おまえの血は流されず、おまえは必ず帰って来る」
主はその父の言葉に喜び、心は躍り、父に向かって言った。「神々の主、大いなる神々の運命よ。もしわたしが、あなたがたの仇を討つ者として、ティアマトを討ち滅ぼし、あなたがたに命を与えるなら――集会を開き、わが運命を並ぶなきものと定め、布告してください。ウプシュキナクに喜びのうちにともに座し、あなたがたに代わって、わたしの言葉が運命を定めるように。わたしのなすことは何であれ変えられず、わが唇の言葉は取り消されず、むなしくされることのないように」
0307
第3書板 神々の宴
アンシャルの言伝
アンシャルは口を開き、侍臣ガガに言葉をかけた。「わが心を喜ばせる侍臣ガガよ、ラフムとラハムのもとへおまえを遣わそう。〔欠損〕おまえは成し遂げることができる。〔欠損〕おまえの前に連れ来させよ。〔欠損〕神々をことごとく。宴の支度をさせ、祝いの席に着かせ、パンを食べさせ、酒を混ぜさせよ。彼らの仇を討つマルドゥクのために、運命を定めさせるのだ。行け、ガガよ、彼らの前に立ち、わたしの告げることをすべて繰り返して言え。
『あなたがたの子アンシャルがわたしを遣わし、その心の思いをわたしに打ち明けました。こう仰せです。われらの母ティアマトはわれらへの憎しみを抱き、ありったけの力で猛り、怒りに満ちています。神々はこぞって彼女のもとへ走り、あなたがたの創られた神々までも、その傍らに従いました。彼らは徒党を組んでティアマトの側に進み、夜昼となく休みなく悪事を企て、いきり立ち、荒れ狂って戦支度を整え、力を合わせて戦を仕掛けようとしています。万物を形づくったウンム・フブルは、何ものにも敵しえぬ武器を加えて鍛え、怪物の大蛇どもを産み落としました。歯は鋭く、牙は容赦を知りません。体には血の代わりに毒を満たし、猛る毒蛇どもに戦慄をまとわせ、輝きで飾り、丈高く造り上げました。見る者は恐怖にのまれ、その身はそそり立ち、誰もその攻めを防げません。毒蛇と、竜と、怪物ラハムと、暴風と、猛り狂う犬と、蠍人間と、荒ぶる大嵐と、魚人間と、牡羊とを立てました。彼らは容赦なき武器を帯び、戦いを恐れません。彼女の命令は強大で、誰も逆らえません。このようにして、丈高い怪物を十一種そろえたのです。
そして、おのれを支えた子なる神々のうちからキングウを高め、彼らのただ中で権力の座に就けました。軍列の先頭を行くこと、軍勢を率いること、戦いの合図を上げること、攻めの先陣を切ること、戦いを指揮し、統べること――それらを彼に委ね、贅を尽くした衣で座に就かせて言いました。わたしはおまえのために呪文を唱え、神々の集いでおまえを高めた、すべての神々への支配権をおまえに委ねる、高くあれ、わが選びの夫よ、アヌンナキのすべての上に、彼らがおまえの名を大きく呼ばわるように、と。彼女は天命の書板を彼に授けて胸に置き、おまえの命令はむなしからず、その口の言葉は必ず立つ、と言いました。こうして高められたキングウは、アヌの権能を受け、彼女の子なる神々のために運命を定めて言いました。おまえたちの口を開けば火の神も消えよう、戦いに秀でた者はその力を示すがよい、と。
わたしはアヌを遣わしましたが、彼は彼女に立ち向かえませんでした。ヌディンムドも恐れて引き返しました。しかし、神々の導き手、あなたがたの子マルドゥクが名乗り出ました。ティアマトに立ち向かうことを、その心が彼を促したのです。彼は口を開いて、わたしにこう言いました。もしわたしが、あなたがたの仇を討つ者として、ティアマトを討ち滅ぼし、あなたがたに命を与えるなら、集会を開き、わが運命を並ぶなきものと定めて布告してください。ウプシュキナクに喜びのうちにともに座し、あなたがたに代わって、わたしの言葉が運命を定めるように。わたしのなすことは何であれ変えられず、わが唇の言葉は取り消されず、むなしくされることのないように、と。
急いでください。速やかに、あなたがたの授ける運命を彼のために定めてください。彼が行って、あなたがたの強大な敵と戦えるように』」
ガガの口上
ガガは行き、道を進んで、父なる神々ラフムとラハムの前にへりくだり、拝跪してその足もとの地に口づけした。身を低くしてから立ち上がり、彼らに告げた。
「あなたがたの子アンシャルがわたしを遣わし、その心の思いをわたしに打ち明けました。こう仰せです。われらの母ティアマトはわれらへの憎しみを抱き、ありったけの力で猛り、怒りに満ちています。神々はこぞって彼女のもとへ走り、あなたがたの創られた神々までも、その傍らに従いました。彼らは徒党を組んでティアマトの側に進み、夜昼となく休みなく悪事を企て、いきり立ち、荒れ狂って戦支度を整え、力を合わせて戦を仕掛けようとしています。万物を形づくったウンム・フブルは、何ものにも敵しえぬ武器を加えて鍛え、怪物の大蛇どもを産み落としました。歯は鋭く、牙は容赦を知りません。体には血の代わりに毒を満たし、猛る毒蛇どもに戦慄をまとわせ、輝きで飾り、丈高く造り上げました。見る者は恐怖にのまれ、その身はそそり立ち、誰もその攻めを防げません。毒蛇と、竜と、怪物ラハムと、暴風と、猛り狂う犬と、蠍人間と、荒ぶる大嵐と、魚人間と、牡羊とを立てました。彼らは容赦なき武器を帯び、戦いを恐れません。彼女の命令は強大で、誰も逆らえません。このようにして、丈高い怪物を十一種そろえたのです。
そして、おのれを支えた子なる神々のうちからキングウを高め、彼らのただ中で権力の座に就けました。軍列の先頭を行くこと、軍勢を率いること、戦いの合図を上げること、攻めの先陣を切ること、戦いを指揮し、統べること――それらを彼に委ね、贅を尽くした衣で座に就かせて言いました。わたしはおまえのために呪文を唱え、神々の集いでおまえを高めた、すべての神々への支配権をおまえに委ねる、高くあれ、わが選びの夫よ、アヌンナキのすべての上に、彼らがおまえの名を大きく呼ばわるように、と。彼女は天命の書板を彼に授けて胸に置き、おまえの命令はむなしからず、その口の言葉は必ず立つ、と言いました。こうして高められたキングウは、アヌの権能を受け、彼女の子なる神々のために運命を定めて言いました。おまえたちの口を開けば火の神も消えよう、戦いに秀でた者はその力を示すがよい、と。
アンシャル様はアヌを遣わしましたが、彼は彼女に立ち向かえませんでした。ヌディンムドも恐れて引き返しました。しかし、神々の導き手、あなたがたの子マルドゥクが名乗り出ました。ティアマトに立ち向かうことを、その心が彼を促したのです。彼は口を開いて、こう言いました。もしわたしが、あなたがたの仇を討つ者として、ティアマトを討ち滅ぼし、あなたがたに命を与えるなら、集会を開き、わが運命を並ぶなきものと定めて布告してください。ウプシュキナクに喜びのうちにともに座し、あなたがたに代わって、わたしの言葉が運命を定めるように。わたしのなすことは何であれ変えられず、わが唇の言葉は取り消されず、むなしくされることのないように、と。
急いでください。速やかに、あなたがたの授ける運命を彼のために定めてください。彼が行って、あなたがたの強大な敵と戦えるように」
神々の宴
ラフムとラハムはこれを聞いて声高く叫び、イギギの神々はみな激しく嘆いた。「何が変わってしまったというのか、彼らが〔欠損〕とは。われらには、ティアマトのふるまいが分からない」。
そこで、運命を定める大いなる神々はみな連れ立って出かけ、アンシャルの前に入り、〔欠損〕を満たした。彼らは集いのうちに口づけを交わし、宴の支度をして祝いの席に着いた。パンを食べ、酒を混ぜ、甘い飲み物と蜜酒が彼らの〔欠損〕を惑わせた。彼らは飲むほどに酔い、体は満たされ、すっかり寛いで、その霊は高揚した。そして、彼らの仇を討つマルドゥクのために、運命を定めた。
0407
第4書板 ティアマト討滅
王権の授与
彼らはマルドゥクのために君侯の座所をしつらえ、彼は父たちの前で君主として席に着いた。
「あなたは大いなる神々のうちで最も尊い方。あなたの運命は並ぶものなく、あなたの言葉はアヌの言葉。マルドゥクよ、あなたは大いなる神々のうちで最も尊い方。あなたの運命は並ぶものなく、あなたの言葉はアヌの言葉。この日より、あなたの命令はむなしくされず、高めることも低くすることも、あなたの手の内にある。あなたの口の言葉は必ず立ち、あなたの命令に逆らえるものはない。神々のうち何者も、あなたの境を踏み越えない。神々の社が慕ってやまぬ豊かさは、たとえ供物に事欠くときにも、あなたの聖所に備わるだろう。マルドゥクよ、あなたはわれらの仇を討つ方。全世界の王権をあなたに与える。座に着いて力をふるい、その命令のうちに高くあれ。あなたの武器は決して力を失わず、敵を打ち砕くだろう。主よ、あなたに信頼を置く者の命は助けよ。だが、反逆を始めた神は、その命を注ぎ出すがよい」
そして彼らはそのただ中に一枚の衣を置き、初子なるマルドゥクに言った。「主よ、あなたの運命が神々のうちで最上のものであるように。滅ぼすことも、創ることも――言葉を発せよ、そのとおりになるように。いま口を開いて、この衣を消し去れ。ふたたび命じて、衣をもとに現せ」。彼が口で命じると、衣は消え去った。ふたたび命じると、衣はもとどおりに現れた。父なる神々は、その言葉の成就を見ると歓喜し、拝して言った。「マルドゥクこそ王」。彼らは彼に笏と王座と指輪を授け、敵を圧倒する無敵の武器を与えた。「行け、ティアマトの命を断て。風がその血を、人知れぬ場所へ運び去るように」
武具の支度
父なる神々がこうして主の運命を定めると、彼らは彼を、栄えと成功の道へと送り出した。
彼は弓をととのえて、おのれの武器と定め、槍を掛けて留めた。棍棒を振り上げて右手に握り、弓と矢筒をわきに掛けた。稲妻をおのれの前に立て、燃えさかる炎でその身を満たした。ティアマトのはらわたを閉じ込めるための網を作り、彼女の何ものも逃さぬよう、四方の風を配した。南風、北風、東風、西風――父アヌの贈り物なるその網のかたわらに、それらを控えさせた。さらに邪悪な風と、疾風と、つむじ風を、四重の風と、七重の風と、渦巻く風と、並ぶもののない風を創り出し、創った七つの風を送り出した。ティアマトのはらわたをかき乱すために、風は彼のあとにつき従った。
そして主は、その強大な武器なる雷電を振り上げ、恐ろしさ並ぶもののない嵐の戦車に乗り込んだ。四頭の馬をそれにつなぎ、くびきを掛けた。破壊するもの、獰猛なもの、圧倒するもの、駆けること速きもの。〔欠損〕その歯は、泡を噴いていた。〔欠損〕に長け、踏みにじることを教え込まれていた。〔欠損〕戦いに強き〔欠損〕。左に、右に〔欠損〕。彼の衣は〔欠損〕、彼は戦慄をまとい、圧倒する輝きをその頭に頂いた。
対峙
こうして彼は出で立ち、道を進み、猛り立つティアマトへと顔を向けた。唇には〔欠損〕を含み、手には〔欠損〕を握っていた。そのとき、神々は彼を見た。父なる神々は彼を見、神々は彼を見た。
主は近づき、ティアマトのはらわたを見きわめ、その夫キングウのたくらみを見抜いた。マルドゥクが見つめると、キングウは足取りを乱し、その意志はくずおれ、動きは止まった。彼の傍らを進んでいた助け手の神々も、先導者の〔欠損〕を見て、目は乱れた。
だがティアマトは首をめぐらすことなく、ひるまぬ唇で反逆の言葉を投げつけた。「〔欠損〕神々の主としてのおまえの到来を。彼らはおのれの場所を捨てて、おまえの場所に寄り集まったのか」。
そこで主は、強大な武器なる雷電を振り上げ、猛り狂うティアマトに向かって言い送った。「おまえは大きくなり、おのれを高々と掲げた。おまえの心はおまえを唆して、戦を呼ばわらせた。〔欠損〕その父たちを〔欠損〕、彼らの〔欠損〕をおまえは憎んだ。おまえはキングウを高めておのれの夫とし、アヌにも等しく勅令を発する権を〔欠損〕。〔欠損〕おまえは悪を追い求め、わが父なる神々に対して邪悪な謀りごとを企てた。ならば、おまえの軍勢に装備させよ。おまえの武器を帯びさせよ。立て。わたしとおまえ、いざ戦おうではないか」
ティアマトはこれを聞くと、憑かれたようになり、正気を失った。ティアマトは荒々しい、突き刺すような叫びを上げ、その根元までも震えおののいた。彼女は呪文を唱え、まじないを口にし、戦いの神々はおのれの武器を求めて叫んだ。
決戦
そしてティアマトと、神々の顧問官マルドゥクは進み出て、戦いへと迫り、決戦へと近づいた。
主は網を広げて彼女を捕らえ、背後に控えさせた邪悪な風を、その顔に向けて解き放った。ティアマトが口を限りに開いたとき、彼はそこへ邪悪な風を吹き込み、唇を閉じることを許さなかった。すさまじい風はその腹を満たし、彼女の勇気は奪われ、口は大きく開いたままになった。彼は槍をつかんでその腹を破り、はらわたを断ち、心臓を貫いた。彼は彼女を打ち伏せ、その命を断ち、骸を投げ捨てて、その上に立った。
首領ティアマトが討たれると、その力は砕け、軍勢は散った。彼女の傍らを進んでいた助け手の神々は、震え、恐れて、背を向けた。命からがら逃げにかかったが、取り囲まれて逃げおおせなかった。彼は彼らを捕虜にし、その武器を打ち砕いた。網に捕らえられ、罠にかかって、彼らは座り込んだ。世界の〔欠損〕は、彼らの嘆きの叫びで満ちた。彼らは罰を受け、監禁の身となった。彼女が戦慄の力で満たした十一の怪物、彼女の〔欠損〕を進んでいた魔物の一団にも、彼は苦難をもたらし、その力を〔欠損〕。彼らとその反抗を、彼は足の下に踏みにじった。
さらに、彼らの上に高められていたキングウを征服し、ドゥグガ神のもとに彼を数え入れた。そして、正しくは彼のものでない天命の書板を取り上げ、封印を押して、おのれの胸に置いた。
天の創造
勇士マルドゥクはこうして敵に打ち勝って敵を打ち伏せ、傲然たる敵をも〔欠損〕のようにし、アンシャルの勝利を敵の上に打ち立て、ヌディンムドの望みを果たした。捕らえた神々の監禁を固めると、彼は征服したティアマトのもとへ立ち返った。
主はティアマトの下半身を踏みつけ、容赦なき棍棒でその頭蓋を打ち砕いた。彼女の血の管を断つと、北風がそれを人知れぬ場所へと運び去った。父たちはこれを見て歓喜し、喜んで、贈り物と捧げ物を彼のもとへ運んだ。
そして主は憩い、彼女の骸を見つめながら、〔欠損〕の肉を分かち、巧みなはかりごとを思い立った。彼は彼女を平らな魚のように二つに裂き、その半身を張り渡して天の覆いとした。かんぬきを掛け、見張りを立て、彼女の水を漏れ出させぬよう命じた。彼は天を渡ってその諸域を見きわめ、深淵に向き合う場所に、ヌディンムドの住まいを据えた。主は深淵の構えを測り、それに似せた大殿エシャラを打ち建てた。天として創ったその大殿エシャラに、アヌとベールとエアを、それぞれの領分として住まわせた。
0507
第5書板 星々と暦
星々と暦の創造
彼は大いなる神々のために、星の座を造った。星々を、神々の似姿として、獣帯の星として据えた。年を定めて区切りに分かち、十二の月のそれぞれに、三つずつ星を定めた。年の日々を〔欠損〕したのち、ニビルの座を据えて、星々の限りを定めさせた。何ものも誤らず、迷い出ることのないように、ニビルとともにベールとエアの座を据えた。天の両側に大いなる門を開き、左右に堅くかんぬきを掛け、そのただ中に天頂を定めた。
彼は月の神を照り輝かせ、夜をこれに委ねた。夜に属する者として彼を立てて日々を定めさせ、月ごとに絶えることなく冠をいただかせて言った。「月の初めに国の上へ輝き出るとき、おまえは角をもって六日を定め、七日目には冠を分かつがよい。十四日目には、その半ばをもって向かい合って立て。太陽の神が天の礎からおまえを〔欠損〕とき、〔欠損〕おまえは太陽の神の道へと近づけ。〔欠損〕の日には向かい合って立ち、太陽の神は〔欠損〕。〔欠損〕その道を渡り〔欠損〕。近づかせ、正しい裁きを下せ。〔以下欠損〕」
欠損(27〜65行)
(石碑の磨滅により欠損)
弓の星(断片)
〔位置の定かでない断片。「エサギルにおいて」「据えるために」「座を」「大いなる神々は」といった語が読み取れる〕
父なる神々は、彼の作った網を見た。弓を見て、その仕事の見事に成ったのを見た。彼らは、彼の成した業を讃えた。アヌは神々の集いのうちにそれを掲げ、弓に口づけして言った。「これは〔欠損〕」。そして、弓の名をこう名づけた。「『長き木』が第一の名。第二の名は〔欠損〕。第三の名は『弓の星』。天にあって〔欠損〕」。彼は弓のために座を定め〔以下欠損〕。〔欠損〕の運命ののち、王座を据え〔以下欠損〕。〔欠損〕天において〔以下欠損〕。
欠損(88〜140行)
(石碑の磨滅により欠損)
0607
第6書板 人間の創造
人間の創造
マルドゥクは神々の言葉を聞くと、心は彼を促し、巧みなはかりごとを思い立った。彼は口を開いてエアに語り、心のうちに抱いた思いを打ち明けた。
「わが血を取り、骨を造ろう。人間を造ろう、人間が〔欠損〕ように。人間を創ろう、彼らが大地に住まうように。神々への奉仕が打ち立てられ、その社が建てられるように。だが、わたしは神々の道を改め、その途を変えよう。彼らはもろともに抑えられ、悪しきことへと〔欠損〕」
エアは彼に答えて、言葉を述べた。「〔欠損〕神々の〔欠損〕を、わたしは変えた」〔以下は断片のみ。「滅ぼされ、人間をわたしは」「神々は」「アヌンナキは」といった語が読み取れる〕
欠損(22〜137行)
(石碑の磨滅により欠損)
神々の讃美
〔断片〕彼らは喜び〔欠損〕、ウプシュキナクにその住まいを定めた。勇士なるその子、おのれらの仇を討った方について、彼らは叫んだ。「われらを救い助けた方よ〔欠損〕」。彼らは座に着き、集いのうちにその名を呼び、みなが声を上げて、彼を高くたたえた。
0707
第7書板 五十の名
称名の讃歌
アサリよ、「植えつけを授ける者」、「種まきの礎を据えた者」、「穀物と草木の創造者」、「緑なすものを萌え出させた者」。アサル・アリムよ、「助言の家で崇められる者」、「助言に満ちあふれる者」――神々は敬意を捧げ、畏れは彼らを捕らえた。アサル・アリム・ヌナよ、「力ある者」、「おのれを生んだ父の光」、「アヌとベールとエアの勅令を導く者」。彼こそ神々の守り手。彼らの〔欠損〕を定め、その備えは豊かで、〔欠損〕へと出でゆく者。
トゥトゥは「彼らを新たに創った者」。彼らの求めが清くあれば、彼らは満たされる。彼が呪文を唱えれば、神々はなだめられる。彼らが怒って襲いかかっても、彼はその突撃を退ける。ゆえに、神々の集いのうちに彼を高くあらしめよ。神々のうち、彼に並びうる者はない。
トゥトゥはまた、ジ・ウキンナ、「神々の群れの命」。神々のために輝く天を打ち立て、彼らをその道に就かせ、その進む道を定めた者。その行いは、人々のあいだで決して忘れられない。
トゥトゥを、第三にジ・アザグと彼らは名づけた。「清めをもたらす者」、「恵みの息吹の神」、「聞き届けと憐れみの主」、「満ち足りと豊穣の創造者」、「豊かさの礎を据えた者」、「小さきすべてを増し加える者」。苦難のきわみに、われらはその恵みの息吹を感じた――人々にそう言わせよ。敬わせよ。その前にへりくだって、身をかがめさせよ。
トゥトゥを、第四にアガ・アザグと人類はあがめよ。「清らかな呪文の主」、「死者を生き返らせる者」、「捕らわれの神々を憐れんだ者」、「敵なる神々からくびきを取り除いた者」、「彼らの赦しのために人間を創った者」、「命を授ける力を持つ、憐れみ深き方」。その行いはとこしえに続き、その手が造った人類の口から、決して忘れ去られることのないように。
トゥトゥの、第五の名はム・アザグ。その「清らかな呪文」を彼らの口に唱えさせよ。「その清らかな呪文によって、すべての悪しき者を滅ぼした方」。
シャグ・ズは「神々の心を知る者」、「奥底までも見通す者」、「悪をなす者を、おのれとともに逃れ出させなかった方」、「神々の集いを打ち立てた者」、「彼らの心を〔欠損〕した者」、「従わぬ者をひざまずかせる者」、「正義を導く者」、「反逆と〔欠損〕を〔欠損〕する者」。
トゥトゥはまた、ジ・シ、「怒りを終わらせた者」〔欠損〕。トゥトゥはまた、スフ・クル、「敵を滅ぼす者」、「彼らの謀りごとをかき乱した者」、「すべての邪悪な者を滅ぼした者」〔以下欠損〕
欠損(47〜104行)
(石碑の磨滅により欠損)
ニビルと五十の名
〔断片〕「〔欠損〕星、天に輝くもの」。始まりと未来を彼が掌り、人々が彼を拝むように。「ティアマトのただ中を、休むことなく押し通った方。その名はニビル、『中心を捉える者』であれ。天の星々の道を支え、羊飼いのようにすべての神々を牧した方。ティアマトを征服し、その命を苦しめ、断った方」。人類の未来において、日々が老いゆくときにも、この言葉が絶えることなく聞かれ、とこしえに力を保つように。
彼は天の領域を創り、堅固な大地を形づくったので、父なるベールは「世界の主」とその名を呼んだ。天のもろもろの霊が唱えたこの称号をエアは聞き、その霊は喜んで言った。「その名を父たちが栄光あるものとした彼は、わたしと同じ者。その名はエアであれ。わがすべての勅令のつかさどりを彼は握り、わがすべての命令を彼は知らしめるだろう」。
こうして「五十」の名をもって、大いなる神々は五十のその名を唱え、彼の道を並ぶなきものとした。
エピローグ
これらの名を心に留めよ。第一の人がそれを唱え伝え、賢き者と悟る者がともにこれを考え、父はそれを繰り返してその子に教え、牧者と羊飼いの耳にも届くように。神々の主マルドゥクに人が喜び頼るように。その者の地は実り豊かとなり、その者自身も栄えるであろう。
彼の言葉は堅く立ち、その命令は変わらない。その口から出た言葉を、覆しえた神はいまだかつてない。怒って見つめるとき、彼は首を曲げない。その憤りのときには、立ち向かえる神はない。彼の心は広く、その慈しみは大きい。罪ある者、悪をなす者は、その前で〔欠損〕。彼らは教えを受け、彼の前で語った。〔以下は断片のみ。神々がマルドゥクの名を讃えるように、といった語が読み取れる〕
