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コヘレトの言葉現代日本語訳

この本の概要

コヘレトの言葉

現代日本語訳

人生の労苦、時間、喜び、死を見つめ、「日の下」で人に何が残るのかを問い続ける古代イスラエルの知恵文学。すべてが過ぎ去る世界で、与えられた日々を受け取り、神を畏れて生きる道を語る。

『コヘレトの言葉』の表紙
『コヘレトの言葉』の表紙

この本の概要

コヘレトの言葉

現代日本語訳

人生の労苦、時間、喜び、死を見つめ、「日の下」で人に何が残るのかを問い続ける古代イスラエルの知恵文学。すべてが過ぎ去る世界で、与えられた日々を受け取り、神を畏れて生きる道を語る。

0112

第1章

1:1

エルサレムの王、ダビデの子コヘレトの言葉。

1:2

なんとむなしいことか、とコヘレトは言う。なんとむなしいことか。すべてはむなしい。

1:3

日の下で人がどれほど労苦しても、いったい何が残るのか。

1:4

一つの世代が去り、次の世代が来る。それでも大地はいつまでも変わらない。

1:5

太陽は昇り、太陽は沈む。そして昇った場所へ、息を切らすように戻っていく。

1:6

風は南へ吹き、北へ向きを変える。巡り、また巡り、同じ道を戻ってくる。

1:7

川はみな海へ流れ込むのに、海が満ちることはない。川は流れ出た場所へ戻り、またそこから流れていく。

1:8

すべては疲れ果てている。言葉では言い尽くせない。目は見ても満たされず、耳は聞いても満たされない。

1:9

かつてあったことが、これからもあり、かつて行われたことが、これからも行われる。日の下にまったく新しいものはない。

1:10

「見よ、これは新しい」と言われるものも、すでに遠い昔からあった。

1:11

昔の人々は忘れられ、これから生まれる人々も、さらに後の人々には忘れられる。

1:12

私コヘレトは、エルサレムでイスラエルの王を務めた。

1:13

私は心を尽くし、天の下で行われるすべてを、知恵によって探り、調べた。これは神が人に負わせた、つらい務めである。

1:14

日の下で行われるすべての業を私は見た。だが、すべてはむなしく、風を追うようなものだった。

1:15

曲がったものはまっすぐにできず、欠けているものは数えることができない。

1:16

私は自分の心に語りかけた。「私は、これまでエルサレムを治めた誰よりも深い知恵を得た。私の心は、知恵と知識を豊かに経験してきた。」

1:17

私は心を尽くして知恵を知ろうとし、狂気と愚かさをも知ろうとした。だが、これもまた風を追うようなものだと悟った。

1:18

知恵が増すほど悩みも増え、知識を増すほど痛みも増えるからだ。

0212

第2章

2:1

私は心の中で言った。「さあ、楽しさを試し、快楽を味わってみよう。」だが、これもまたむなしかった。

2:2

笑いについては「ばかげている」と言い、楽しみについては「何の役に立つのか」と言った。

2:3

私は、知恵を手放さないまま酒で体を満たし、愚かさにも身を任せてみた。人が天の下で過ごす短い一生に、何をするのがよいのかを見極めようとしたのだ。

2:4

私は大きな事業を始め、自分のために家々を建て、ぶどう畑を植えた。

2:5

庭園や果樹園を造り、あらゆる実のなる木を植えた。

2:6

水をためる池を造り、そこから若木の茂る森を潤した。

石造りの貯水池から水路へ水を流し、果樹の若木を育てる人々
水をためる池を造り、そこから若木の茂る森を潤した。

2:7

男女の奴隷を買い、家で生まれた奴隷もいた。牛や羊の群れも、私より前にエルサレムにいた誰より多く持った。

2:8

銀と金、王や国々の宝を集めた。男女の歌い手を置き、多くの女性をはじめ、人の子らが喜ぶものを手に入れた。

2:9

こうして私は、私より前にエルサレムにいた誰よりも大きな者となった。それでも知恵は私のもとにあった。

2:10

目が望んだものは何一つ拒まず、どんな喜びも心に禁じなかった。私の心はすべての労苦を喜び、それが労苦から得た私の取り分だった。

2:11

しかし、自分の手で成し遂げたすべての業と、そこに注いだ労苦を振り返ると、すべてはむなしく、風を追うようなものだった。日の下には何も残らなかった。

2:12

私は知恵と狂気と愚かさを見比べようとした。王の後に来る者に、すでに行われたこと以上の何ができるだろう。

2:13

私は、光が闇に勝るように、知恵が愚かさに勝ることを知った。

2:14

知恵ある者は目を開いて歩くが、愚かな者は闇の中を歩く。それでも私は、どちらにも同じ結末が訪れると知った。

2:15

私は心の中で言った。「愚かな者と同じ結末が私にも訪れる。それなら、私がこれほど知恵を得たのは何のためか。」そして、これもまたむなしいと思った。

2:16

知恵ある者も愚かな者も、いつまでも覚えられることはない。これから来る日々には、どちらも忘れ去られる。知恵ある者も、愚かな者と同じように死ぬ。

2:17

私は生きることを嫌になった。日の下で行われる業がつらく思えたからだ。すべてはむなしく、風を追うようなものだった。

2:18

私は、日の下で重ねたすべての労苦を嫌になった。それを後に来る者へ残さなければならないからだ。

2:19

その者が知恵ある者か愚かな者か、誰に分かるだろう。それでも、その者は、私が知恵を尽くし、日の下で築いたすべてを支配する。これもまたむなしい。

2:20

そこで私は、日の下で重ねたすべての労苦を思い、心を絶望へ向けた。

2:21

知恵と知識と腕を尽くして働いた人が、そのために何も働かなかった人へ、自分の取り分を譲らなければならないことがある。これもまたむなしく、大きな災いである。

2:22

日の下で重ねるすべての労苦と心の苦しみによって、人はいったい何を得るのか。

2:23

その日々はことごとく痛み、その仕事は悩みである。夜になっても心は休まらない。これもまたむなしい。

2:24

人にとって、自分の労苦のうちに食べ、飲み、よいものを味わう以上のことはない。私は、これも神の手から来ると知った。

2:25

神によらずに、誰が食べ、誰が楽しめるだろう。

2:26

神は、御前に良しとされる人には知恵と知識と喜びを与える。一方、罪を犯す人には集めて蓄える仕事を与え、それを神の御前に良しとされる人へ渡させる。これもまたむなしく、風を追うようなものだ。

0312

第3章

3:1

すべてのことには季節があり、天の下のあらゆる営みには時がある。

3:2

生まれる時があり、死ぬ時がある。植える時があり、植えたものを抜く時がある。

同じ畑で若木を植える手と、育ち終えた株を抜く手
植える時があり、植えたものを抜く時がある。

3:3

殺す時があり、癒やす時がある。壊す時があり、建てる時がある。

3:4

泣く時があり、笑う時がある。嘆く時があり、踊る時がある。

3:5

石を投げ捨てる時があり、石を集める時がある。抱き合う時があり、抱き合うことを控える時がある。

3:6

捜す時があり、失う時がある。保つ時があり、投げ捨てる時がある。

3:7

裂く時があり、縫う時がある。黙る時があり、語る時がある。

3:8

愛する時があり、憎む時がある。戦う時があり、平和の時がある。

3:9

働く人は、その労苦から何を得るのか。

3:10

私は、神が人の子らに負わせた務めを見た。

3:11

神はすべてを、その時にかなって美しく造った。また、人の心に永遠への思いを置いた。それでも人は、神が初めから終わりまで行う業を見極めることができない。

3:12

私は知った。人にとって、生きている間に喜び、よいことをする以上のことはない。

3:13

人が食べ、飲み、すべての労苦のうちによいものを味わえるなら、それは神の贈り物である。

3:14

私は知った。神が行うことはすべて永遠に続く。何も加えることができず、何も取り去ることができない。神がそうしたのは、人が神を畏れるためである。

3:15

今あるものは、すでにあった。これからあるものも、すでにあった。神は過ぎ去ったものを再び求める。

3:16

私はさらに、日の下で、裁きの場に悪があり、正義の場にも悪があるのを見た。

3:17

私は心の中で言った。「神は正しい者も悪い者も裁く。あらゆる営みとあらゆる業には、そのための時がある。」

3:18

私は人の子らについて心の中で言った。「神は彼らを試し、自分たちも獣にすぎないことを悟らせる。」

3:19

人に訪れることは獣にも訪れる。両者に同じ結末がある。一方が死ぬように、もう一方も死ぬ。どちらにも同じ息がある。人が獣に勝るところはない。すべてはむなしい。

3:20

すべては同じ場所へ行く。すべては土から生まれ、すべては土へ帰る。

3:21

人の息が上へ昇り、獣の息が地の下へ降ると、誰が知っているだろう。

3:22

私は、人が自分の業を喜ぶ以上のことはないと知った。それがその人の取り分だからだ。死んだ後に起こることを、誰がその人に見せられるだろう。

0412

第4章

4:1

私は再び、日の下で行われるあらゆる虐げを見た。見よ、虐げられる人々の涙を。彼らには慰める人がいない。虐げる者の手には力があるのに、彼らには慰める人がいない。

4:2

私は、今なお生きている人よりも、すでに死んだ人を幸いだと思った。

4:3

だが、両者より幸いなのは、まだ生まれていない人だ。日の下で行われる悪い業を見ていないからだ。

4:4

私は、あらゆる労苦と巧みな仕事が、人と隣人との競い合いから生まれるのを見た。これもまたむなしく、風を追うようなものだ。

4:5

愚かな者は腕を組み、自分の身を食いつぶす。

4:6

両手いっぱいに労苦と風を追うことを抱えるより、片手に静けさを持つほうがよい。

4:7

私は再び、日の下のむなしさを見た。

4:8

ひとりきりで、連れ合いもいない人がいる。子も兄弟もいないのに、その労苦には終わりがなく、富を見ても満足しない。「私は誰のために働き、自分から楽しみを奪っているのか」とも問わない。これもまたむなしく、つらい務めである。

4:9

ひとりよりふたりがよい。ともに働けば、よい報いを得られるからだ。

4:10

ひとりが倒れても、もうひとりが仲間を起こせる。だが、ひとりきりで倒れ、起こしてくれる人がいない者は不幸だ。

4:11

ふたりで横になれば温まる。だが、ひとりでどうして温まれるだろう。

夜明け前、働く二人が一枚の厚い織布にくるまり暖を取る様子
ふたりで横になれば温まる。だが、ひとりでどうして温まれるだろう。

4:12

ひとりなら打ち負かされても、ふたりなら立ち向かえる。三つよりの縄は、すぐには切れない。

4:13

貧しくても知恵のある若者は、もはや忠告を受け入れない年老いた愚かな王に勝る。

4:14

その若者は牢獄から出て王となった。王国の中で、貧しく生まれた者だった。

4:15

私は、日の下を歩むすべての生きている人が、王に代わって立つ若者の側につくのを見た。

4:16

彼が率いた民は数え切れないほどだった。それでも、後の世代は彼を喜ばない。確かにこれもまたむなしく、風を追うようなものだ。

4:17

神の家へ行くときは、足もとに気をつけよ。近づいて聞くことは、愚かな者がいけにえをささげることに勝る。彼らは、自分が悪を行っていることさえ知らない。

0512

第5章

5:1

神の前で口を急がせず、心をせかして言葉を出してはならない。神は天におられ、あなたは地にいる。だから言葉は少なくせよ。

5:2

忙しさが重なると夢が生まれ、言葉が重なると愚かな声が生まれる。

5:3

神に誓願を立てたなら、果たすのを遅らせてはならない。神は愚かな者を喜ばれない。誓ったことを果たせ。

5:4

誓って果たさないより、初めから誓わないほうがよい。

5:5

口の言葉によって自分の身を罪へ導いてはならない。使者の前で「あれは間違いでした」と言ってはならない。なぜあなたの言葉によって神を怒らせ、自分の手の業を滅ぼされるのか。

5:6

夢が増せば、むなしさも言葉も増す。ただ神を畏れよ。

5:7

ある州で貧しい人が虐げられ、裁きと正義が奪われているのを見ても、驚いてはならない。高い地位の者を、さらに高い者が見張り、その上にも高い者たちがいる。

5:8

大地の実りはすべての人のためにある。王でさえ畑に仕えられている。

5:9

銀を愛する人は銀で満足せず、富を愛する人は収益で満足しない。これもまたむなしい。

5:10

財産が増えると、それを食べる人も増える。持ち主に何が残るだろう。ただ目で眺めるだけではないか。

5:11

働く人の眠りは、食べる量が少なくても多くても心地よい。だが、富む人は満腹のために眠れない。

仕事道具と食べ残したパンのそばで深く眠る労働者
働く人の眠りは、食べる量が少なくても多くても心地よい。

5:12

私は日の下で、痛ましい災いを見た。持ち主が、自分を害するまで富を守り続けることだ。

5:13

その富は不運な事業で失われる。息子が生まれても、その手には何もない。

5:14

人は母の胎から裸で出て来たように、裸で帰っていく。どれほど労苦しても、手に持って行けるものは何もない。

5:15

これもまた痛ましい災いだ。人は来たときと同じように去る。風のために労苦して、何が残るのか。

5:16

その人は一生、闇の中で食べ、深い悩みと病と怒りを抱える。

5:17

見よ、私がよい、美しいと知ったのは、神から与えられた命の日々、日の下で重ねるすべての労苦のうちに食べ、飲み、よいものを味わうことだ。それがその人の取り分だからだ。

5:18

神から富と財産を与えられ、それを味わい、自分の取り分を受け取り、労苦を喜ぶ力も与えられた人がいる。これは神の贈り物である。

5:19

その人は自分の命の日々をくよくよ振り返らない。神が心の喜びをもって応えてくださるからだ。

0612

第6章

6:1

私は日の下で、人に重くのしかかる災いを見た。

6:2

神から富と財産と名誉を与えられ、望むものに何一つ欠けることのない人がいる。それなのに神は、それを味わう力をその人に与えず、見知らぬ人が味わう。これはむなしく、重い病のような災いだ。

6:3

たとえ百人の子をもうけ、長い年月を生きても、その人がよいもので満たされず、葬られさえしないなら、私は、死産の子のほうがその人より安らかだと言う。

6:4

その子はむなしさの中に来て、闇の中へ去り、その名も闇に覆われる。

6:5

太陽を見たことも、何かを知ったこともない。それでも、その子のほうがあの人より安らかである。

6:6

たとえ二千年生きても、よいものを味わわないなら何になるのか。すべての者は同じ場所へ行くのではないか。

6:7

人の労苦はすべて口のためにある。それでも欲望が満たされることはない。

6:8

知恵ある者は愚かな者より何が優れているのか。貧しくても、人々の前でどう歩むかを知る人には何があるのか。

6:9

目の前にあるものを味わうことは、欲望のままにさまようことに勝る。これもまたむなしく、風を追うようなものだ。

6:10

今あるものは、すでにその名を与えられている。人がどのような者かも知られている。人は、自分より強い方と争うことができない。

6:11

言葉が増えるほど、むなしさも増える。それで人に何が残るのか。

6:12

影のように過ぎる、むなしい命の日々、人にとって何がよいかを誰が知っているだろう。人が去った後、日の下で何が起こるかを、誰がその人に告げられるだろう。

0712

第7章

7:1

よい名は上質な香油に勝り、死ぬ日は生まれる日に勝る。

7:2

宴会の家へ行くより、喪に服す家へ行くほうがよい。死はすべての人の行き着くところであり、生きている人はそれを心に留めるからだ。

7:3

笑いより悲しみがよい。顔が悲しむとき、心はよいものに変えられるからだ。

7:4

知恵ある人の心は喪に服す家にあり、愚かな人の心は楽しみの家にある。

7:5

愚かな人の歌を聞くより、知恵ある人の叱責を聞くほうがよい。

7:6

愚かな人の笑いは、鍋の下でいばらがはじける音に似ている。これもまたむなしい。

いばらの小枝が火花を散らす炉と、その上で煮える鍋
愚かな人の笑いは、鍋の下でいばらがはじける音に似ている。

7:7

虐げは知恵ある人を狂わせ、賄賂は心を壊す。

7:8

物事の終わりはその始まりに勝り、忍耐する心は高ぶる心に勝る。

7:9

心をせかして怒ってはならない。怒りは愚かな人の胸に住みつくからだ。

7:10

「昔のほうが今よりよかったのはなぜか」と言ってはならない。その問いは知恵から出たものではない。

7:11

知恵は相続財産とともにあればよい。日の光を見る人にとって利益となる。

7:12

知恵が守りとなるように、金も守りとなる。だが知恵という知識の優れたところは、それを持つ人を生かすことにある。

7:13

神の業を見よ。神が曲げたものを、誰がまっすぐにできるだろう。

7:14

順調な日には喜び、苦しい日にはよく見つめよ。神は一方を他方と並べて造られた。それは、自分の後に何が起こるかを人が見つけられないようにするためだ。

7:15

むなしい命の日々、私はあらゆることを見た。正しいのに滅びる人がいて、悪を行いながら長く生きる人がいる。

7:16

正しさに偏りすぎてはならず、自分を賢く見せすぎてはならない。なぜ自分を滅ぼすのか。

7:17

悪に傾きすぎてはならず、愚かな者になってはならない。なぜ自分の時が来る前に死ぬのか。

7:18

一方をつかみ、もう一方からも手を放さないのがよい。神を畏れる人は、その両方をわきまえて進む。

7:19

知恵は知恵ある人を、町にいる十人の権力者よりも強くする。

7:20

地上には、善を行い、決して罪を犯さない正しい人はいない。

7:21

人々が語るすべての言葉に心を向けてはならない。自分の奴隷があなたをののしるのを聞くかもしれないからだ。

7:22

あなた自身も何度となく人をののしったと、心の中では知っているはずだ。

7:23

私はこれらすべてを知恵によって試した。「私は知恵ある者になろう」と言ったが、知恵は私から遠かった。

7:24

存在するものは遠く、底知れず深い。誰がそれを見つけられるだろう。

7:25

私は心を向け、知り、探り、知恵と物事の道理を求めた。また、悪は愚かさであり、愚かさは狂気だと知ろうとした。

7:26

私は、死よりも苦い女を見いだした。その心は罠と網、その手は鎖のようだ。神の御前に良しとされる人は彼女から逃れるが、罪を犯す人は捕らえられる。

7:27

見よ、私が見いだしたことを、とコヘレトは言う。一つ一つを重ね、道理を探った結果である。

7:28

私の心はなおも探したが、見つけられなかった。千人の中から、ひとりの男は見つけた。だが、そのすべての中から、ひとりの女も見つけられなかった。

7:29

ただ、これだけは見いだした。神は人をまっすぐに造られたのに、人は多くの策略を求めた。

0812

第8章

8:1

誰が知恵ある人のようになれるだろう。誰が物事の意味を知っているだろう。人の知恵はその顔を明るくし、険しい表情を和らげる。

8:2

私は言う。王の命令を守れ。神の前で立てた誓いのゆえにも、そうせよ。

8:3

王の前を慌てて立ち去ってはならない。悪い事柄に加わり続けてはならない。王は望むことを何でも行うからだ。

8:4

王の言葉には力がある。誰が王に「何をしているのですか」と言えるだろう。

8:5

命令を守る人は災いに遭わない。知恵ある人の心は、ふさわしい時と裁きを知っている。

8:6

あらゆる事柄には、ふさわしい時と裁きがある。だが、人に降りかかる災いは重い。

8:7

これから何が起こるかを人は知らない。それがいつ起こるかを、誰が告げられるだろう。

8:8

息を支配し、引き留められる人はいない。死ぬ日を支配できる人もいない。戦いから免除される人もなく、悪によって悪を行う者が救われることもない。

8:9

私はこれらすべてを見て、日の下で行われるあらゆる業に心を向けた。人が人を支配し、害を与える時がある。

8:10

私は、悪い者が葬られるのを見た。彼らは聖なる場所へ出入りしていたが、そのように振る舞った町で忘れられた。これもまたむなしい。

8:11

悪い業への判決がすぐに執行されないため、人の子らの心は悪を行う思いで満たされる。

8:12

罪を犯す人が百回悪を行っても、なお長く生きることがある。それでも私は、神の御前で神を畏れる人には幸いがあると知っている。

8:13

悪い者には幸いがなく、その日々は影のようで、長くはならない。神の御前で畏れを持たないからだ。

8:14

地上には、むなしいことが起こる。正しい人が悪い者の業にふさわしい報いを受け、悪い者が正しい人の業にふさわしい報いを受ける。私は、これもまたむなしいと言った。

8:15

そこで私は喜びをたたえた。日の下で人にとって、食べ、飲み、喜ぶ以上によいものはないからだ。その喜びは、神から日の下で与えられた命の日々、労苦の中で人に寄り添う。

8:16

私は知恵を知ろうと心を尽くし、地上で行われる務めを見ようとした。人は昼も夜も、その目で眠りを見ることさえない。

8:17

そして私は、神のすべての業を見た。日の下で行われる業を、人は見つけ出すことができない。どれほど労苦して探しても見つからない。知恵ある人が「私は知っている」と言っても、見つけ出すことはできない。

0912

第9章

9:1

私はこれらすべてを心に置き、明らかにしようとした。正しい人も知恵ある人も、その業も、神の手の中にある。愛されるのか憎まれるのか、人には分からない。そのどちらも人の前にある。

9:2

すべての人に同じことが起こる。正しい人にも悪い人にも、善い人にも清い人にも汚れた人にも、いけにえをささげる人にもささげない人にも、同じ結末が訪れる。善い人も罪を犯す人も、誓う人も誓いを恐れる人も同じである。

9:3

日の下で行われるすべての中で、これが災いだ。すべての人に同じ結末が訪れる。そのため人の子らの心は悪で満ち、生きている間、その心には狂気がある。そして最後には死者のもとへ行く。

9:4

生きている者の仲間である限り、希望がある。生きている犬は、死んだ獅子に勝るからだ。

9:5

生きている人は、自分が死ぬことを知っている。だが死者は何も知らず、もはや報いを受けることもない。その記憶は忘れられる。

9:6

彼らの愛も憎しみもねたみも、すでに消え去った。日の下で行われるどんなことにも、もはや永遠に関わることはない。

9:7

さあ、喜んでパンを食べ、晴れやかな心でぶどう酒を飲め。神はすでに、あなたの業を喜んでおられる。

一日の仕事を終えた人々が、パンを割りぶどう酒を分け合う食卓
さあ、喜んでパンを食べ、晴れやかな心でぶどう酒を飲め。

9:8

いつも白い服をまとい、頭には香油を絶やしてはならない。

9:9

日の下で与えられた、むなしい命のすべての日々、愛する伴侶とともに人生を味わえ。それが、日の下で重ねる労苦の中で、あなたに与えられた人生の取り分だからだ。

9:10

手にできることは何でも、力を尽くして行え。あなたが向かう死者の国には、仕事も計画も知識も知恵もないからだ。

9:11

私は再び、日の下で見た。競走は速い人のものとは限らず、戦いは強い人のものとは限らない。知恵ある人が食べ物を得るとも、賢い人が富を得るとも、知識ある人が好意を得るとも限らない。時と偶然が、すべての人に訪れる。

9:12

人は自分の時を知らない。災いの網に捕らえられる魚や、罠に捕らえられる鳥のように、人の子らも、突然降りかかる災いの時に捕らえられる。

9:13

私は日の下で、次のような知恵も見た。それは私には大きなものに思えた。

9:14

小さな町があり、そこに住む人はわずかだった。そこへ大王が攻めて来て包囲し、大きな攻城設備を築いた。

9:15

町には、貧しくても知恵ある人がいた。その人は知恵によって町を救った。だが、誰もその貧しい人を覚えていなかった。

9:16

そこで私は言った。「知恵は力に勝る。」それでも、貧しい人の知恵はさげすまれ、その言葉は聞かれない。

9:17

知恵ある人が静かに語る言葉は、愚かな者たちを治める人の叫びに勝る。

9:18

知恵は戦いの武器に勝る。だが、罪を犯すひとりの人が、多くの善いものを滅ぼす。

1012

第10章

10:1

死んだはえは、香料作りの香油を臭くし、腐らせる。ほんの少しの愚かさも、知恵と名誉より重くなる。

10:2

知恵ある人の心は右へ向き、愚かな人の心は左へ向く。

10:3

愚かな人は道を歩いているときでさえ分別を欠き、自分が愚かであることを誰にでも知らせる。

10:4

支配者があなたに怒っても、自分の持ち場を離れてはならない。穏やかさは大きな過ちを静めるからだ。

10:5

私は日の下で、支配者から出た間違いのような災いを見た。

10:6

愚かな者が多くの高い地位に就き、富む人が低い地位に座っている。

10:7

奴隷が馬に乗り、高官たちが奴隷のように地を歩くのを、私は見た。

10:8

穴を掘る人はその穴に落ち、石垣を破る人は蛇にかまれる。

10:9

石を切り出す人は石で傷つき、木を割る人は木によって危険にさらされる。

10:10

斧の刃が鈍っているのに研がなければ、余計な力が要る。知恵は物事を成功へ導く。

木を割る仕事を止め、鈍った斧の刃を砥石で研ぐ人
斧の刃が鈍っているのに研がなければ、余計な力が要る。

10:11

蛇使いが術をかける前に蛇がかみつくなら、巧みに舌を操っても役には立たない。

10:12

知恵ある人の口から出る言葉は好意を得るが、愚かな人の唇は自分自身をのみ込む。

10:13

その口の言葉は愚かさで始まり、最後には害をもたらす狂気となる。

10:14

愚かな人は言葉を増やす。これから何が起こるか、人には分からない。自分の後に起こることを、誰が告げられるだろう。

10:15

愚かな人は労苦に疲れ果てる。町へ行く道さえ知らないからだ。

10:16

国よ、あなたの王が未熟な若者で、高官たちが朝から宴を開くなら、災いだ。

10:17

国よ、あなたの王が高潔な家の出で、高官たちが酔うためではなく、力を得るために、ふさわしい時に食べるなら、幸いだ。

10:18

怠けていると梁は沈み、手をこまねいていると家は雨漏りする。

10:19

宴は笑うために開かれ、ぶどう酒は人生を喜ばせる。そして金はあらゆる必要に応える。

10:20

心の中でさえ王をのろってはならず、寝室の中でさえ富む人をのろってはならない。空の鳥がその声を運び、翼あるものがその言葉を告げるからだ。

1112

第11章

11:1

あなたのパンを水の上へ送り出せ。多くの日を経た後、それを見つけるだろう。

11:2

七人に、いや八人に取り分を分けよ。地上にどんな災いが起こるか、あなたには分からないからだ。

11:3

雲が雨で満ちれば、地に降り注ぐ。木が南に倒れても北に倒れても、倒れたその場所に横たわる。

11:4

風ばかり見ている人は種をまかず、雲ばかり見ている人は刈り取らない。

11:5

息がどの道を通るのか、母の胎内で骨がどのように形づくられるのか、あなたには分からない。それと同じように、すべてを行う神の業は分からない。

11:6

朝に種をまき、夕方にも手を休めてはならない。こちらとあちらのどちらが実るのか、あるいは両方ともよく実るのか、あなたには分からないからだ。

11:7

光は心地よく、太陽を見ることは目に喜ばしい。

11:8

人が何年生きても、そのすべてを喜べ。だが、長く続く闇の日々も覚えておけ。これから来るものは、すべてむなしい。

11:9

若者よ、若い日に喜べ。若い日々に心を楽しませよ。心が示す道を歩み、目に映るものを追い求めよ。ただし、それらすべてについて神があなたを裁くと知っておけ。

11:10

心から悩みを取り除き、体から災いを遠ざけよ。若さも青春も、すぐに過ぎるものだからだ。

1212

第12章

12:1

苦しい日々が来る前に、また「何の喜びもない」と言う年月が近づく前に、若い日のうちにあなたの創造者を覚えよ。

12:2

太陽と光、月と星が暗くなり、雨の後にまた雲が戻る前に。

12:3

家を守る者たちが震え、力ある男たちが腰を曲げ、ひき臼を回す女たちは数が減って仕事をやめ、窓から見る女たちの目が暗くなる日に。

12:4

通りに面した扉が閉ざされ、ひき臼の音が小さくなり、鳥の声で目を覚まし、歌う娘たちの声が弱くなる日に。

12:5

人は高い所を恐れ、道の上の危険におびえる。アーモンドの木は花を咲かせ、ばったは重い体を引きずり、食欲を促す実も効かなくなる。人は永遠の家へ向かい、嘆く人々が通りを歩き回る。

12:6

銀のひもが切れ、金の器が砕け、泉のそばで水がめが割れ、井戸の滑車が壊れる前に。

老いた人の家の中庭で、切れた銀のひも、割れた水がめ、止まった井戸の滑車が見える場面
銀のひもが切れ、金の器が砕け、泉のそばで水がめが割れ、井戸の滑車が壊れる前に。

12:7

土は元のように大地へ帰り、息はそれを与えた神へ帰る。

12:8

なんとむなしいことか、とコヘレトは言う。すべてはむなしい。

12:9

コヘレトは知恵ある者であっただけでなく、民に知識を教え続けた。多くの格言をよく考え、調べ、整えた。

12:10

コヘレトは喜ばしい言葉を見つけ、真実の言葉をまっすぐに書こうと努めた。

12:11

知恵ある人々の言葉は、家畜を導く突き棒のようだ。集められた言葉は、しっかり打ち込まれた釘のようであり、ひとりの牧者から与えられた。

12:12

わが子よ、これらに加えて忠告しておく。本を作ることに終わりはなく、学びすぎれば体は疲れる。

12:13

すべてを聞いた今、結論はこうだ。神を畏れ、その戒めを守れ。それが人のすべてだからだ。

12:14

神は、隠されたことも含め、すべての業を裁かれる。それが善いことか悪いことかを問わずに。

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