日本の生成AI界隈で話題になっている「Nani !?」をご存知でしょうか?

正直に言えば、すでに翻訳に困る場面はほとんどありませんでした。
DeepLやGoogle翻訳からはじまり、ChatGPTのようなLLM、あるいはブラウザに搭載されはじめたチャットAIを使えば、「翻訳して」の一言で十分な結果が返ってきます。

機能としての翻訳は、すでにコモディティ化しています。

それでも Nani !? は、リリースから数ヶ月で多くのユーザーに使われ、公開2ヶ月目には月次売上が100万円を超えています。開発者の catnose さんが X でその数字を公表しています。

https://x.com/catnose99/status/1994979085446254607

この記事では、「Nani !?」を単なる便利ツールとして紹介するだけでなく、その体験の良さはどこから来ているのか、開発者の設計思想や技術的な工夫も含めて解説していきたいと思います。

Nani !? とはなにか

Nani !? は、個人開発者であるcatnoseさん(@catnose99)が開発・運営する国産のAI翻訳ツールです。

https://nani.now/ja/about

基本スペック:

  • 対応プラットフォーム:Webブラウザ、macOS、Windows

  • 主な機能:テキスト翻訳、ショートカット翻訳、スクリーンショット翻訳、画像翻訳

  • 翻訳の特徴:複数の翻訳案提示、ニュアンス解説、例文表示

  • アシスト機能:AI返信作成、文体(トーン)調整、戻し訳によるレビュー

  • 対応言語:英語(アメリカ英語 / イギリス英語)のほか、簡体中国語・スペイン語・韓国語などにも対応(執筆時点)

最大の特徴は、「一発の訳文を出して終わり」ではないという点です。

従来のツールが「正解」を一つだけ提示するのに対し、Nani !?は「いくつかの選択肢」と「なぜその表現なのか」という解説を提示してくれるのがポイントです。

ユーザーはそれを見比べ、必要であればAIに追加の指示をしてトーンを調整し、返信文まで含めて整えることができます。


実際の活用事例

具体的にどのようなシーンで活用できるのか、研究所内で1ヶ月以上利用してきた中で「これは便利だ」と感じたシーンをもとにご紹介します。

※Nani !?の体験やスムーズさを感じていただくため画像ではなくGIFを掲載していますが、noteの仕様上ファイルサイズを落とすために一部加工しています。全て等倍速です。

本文では便宜上「英語」を例にしていますが、簡体中国語・スペイン語・韓国語など他言語でも基本的な考え方は同じです。

① 英語メルマガや海外記事、Xの英語ポストをショートカットキーで素早く翻訳

英語のポストを選択し、ショートカット(Cmd+J)でNani !?を呼び出せば、瞬時に翻訳結果と解説が表示されます。初めて使う方は、この起動と翻訳の圧倒的な速さに驚くはずです。


② AIモデル(コーディング特化モデルなど)の英語回答を、その場で和訳して読みやすくする

Codexなどの開発系AIモデルが出力する回答は、日本語で入力しても英語で出力されることや、専門用語が多く、直訳するだけでは理解しにくい場合があります。

そこで便利なのが「わかりやすく」ボタンです。ワンクリックで単なる翻訳ではなく、内容を噛み砕いて構造化した解説を生成してくれます。

わざわざChatGPTに「この内容を初心者向けに解説して」と投げ直してコンテキストを消費する必要はなく、その場で即座に理解を深められる体験は強力です。

デスクトップ版を利用する場合、上記のようにブラウザ上のチャットに限らずTerminalに出力された英語のエラーログや、エディタ内のコメントなど、あらゆるアプリ上のテキストを同じショートカットで即座に翻訳・解説できます。

「アプリを選ばずどこからでも呼び出せる」ことの快適さを最も実感できるシーンの一つです。


③ 英語メール・メッセージの返信文を、トーンを調整しながら作成する

届いたメッセージの内容を理解した後、日本語で返信の下書きを作成し、それをNani !?で英訳するという使い方が強力です。「ビジネスメール」「顧客対応」「少しカジュアルに」といった豊富なプリセットからトーンをボタン一つで調整でき、相手との関係性に合わせた最適な英文を作成できます。

利用可能なトーンの例:

  • 😎 カジュアル:友達と話すようなカジュアルなトーン

  • 🥸 ていねい:ビジネスにふさわしい丁寧なトーン

  • 🧢 Z世代:デジタルネイティブな口調

  • 🧵 ネットスレ:Redditのようなネット掲示板風の文体

  • 📧 ビジネスメール:構成が明確でフォーマルな文章

これらはあくまで一例で、他にも「キャッチコピー」「スピーチ」「SNSつぶやき」など多様なプリセットが用意されています。

さらに強力なのが、自分好みのトーンをカスタムプリセットとして登録できる機能です。「自社のブランドボイスで」「特定のキャラクターの口調で」といった独自の指示を保存しておけば、ワンクリックでそのトーンを呼び出せるようになります。


生成された英文に対して「戻し訳」を実行することで、意図したニュアンスが正しく伝わっているか、ネイティブとして自然な表現かを確認できます。

これまでChatGPTに「これで送って大丈夫?」と相談していた確認作業が、ボタン一つで高速に完結します。


④ スクショ翻訳・画像翻訳で「テキスト化されていない資料」も読む

共有されていないスライドや、画像化されたテキストデータであっても、スクリーンショットを撮ってNani !?に投げるだけでテキスト抽出と翻訳が可能です。

デスクトップアプリのアイコンに画像をドラッグ&ドロップするだけでも翻訳が始まります。

Web上の画像もコピペで翻訳できるため、あらゆる視覚情報を言葉の壁を越えて扱えるようになります。


⑤ スプレッドシートなどの表も翻訳可能

少なくとも、こちらの環境(Googleスプレッドシート)ではスプレッドシートの複数の行列を選択して翻訳し、結果をコピペしても表のフォーマットが崩れません。

セルごとにちまちま翻訳する作業から解放されます。