昨今、ChatGPTに代表される生成AIが話題を集めています。ビジネスの現場でも、AIを活用したチャットボットや業務自動化への期待が高まっています。
しかし、ゼロからAIの機能を開発するのは容易ではなく、高度な専門知識や多くの時間が必要です。そこで注目されているのがAI SDKです。
AI SDK(AI用のソフトウェア開発キット)とは、AIの機能を自社のアプリケーションに簡単に組み込むための開発用ツールの集合です。
AI SDKの中でも、今回の記事でご紹介するのはVercel AI SDKです。これは、Next.jsの開発元として知られるVercel社が提供するオープンソースのAI開発キットで、会話型のAIインターフェースやチャットボットを手軽に構築できます。

本記事では、AI SDKの基礎知識から、Vercel AI SDKの具体的な特徴や使い方、活用事例を解説します。
AI SDKとは?
AI SDK(AI向けソフトウェア開発キット)とは、AIをアプリケーションに組み込むための開発ツールの総称です。

生成AIモデルを活用する際、通常は各モデルが提供するAPIを直接呼び出し、認証情報を設定し、ストリーミング処理やエラーハンドリングを自前で行わなければなりません。
AI SDKを使うメリットは、こうした面倒な処理を標準化されたインターフェースで代行してくれる点にあります。
これにより、開発者は実装の手間を大幅に減らせるほか、将来新しいAIサービスが登場して乗り換えたくなった場合も、コード修正を最小限に抑えて対応できる利点があります。
Vercel AI SDKとは?
Vercel AI SDKは、フロントエンドのホスティングやNext.jsで有名なVercel社が開発するオープンソースのAI SDKです。

Vercel社が開発しているv0についても下記の記事で解説していますので、ご興味ある方はぜひ併せてご覧ください。
https://agi-labo.com/articles/n713f2f2ee0cc
Vercel AI SDKの大きな特徴は下記の二つのコンポーネントに分かれています。
AI SDK Core
大規模言語モデル(LLM)や画像生成モデル、埋め込み(ベクトル変換)といったAI機能を、共通のAPIで呼び出せるようにする“基盤部分”です。
ストリーミングの処理やエラーハンドリング、複数モデルプロバイダーの切り替えなど、AI機能の「内部的な複雑さ」を肩代わりしてくれます。
AI SDK UI
チャットボット向けのReactフックや画面表示のためのコンポーネント群を提供し、少ないコードで対話インターフェースを作れるようにする部分です。
例えば「ユーザーが入力したテキストを送信し、AIからの応答を表示する」というチャットUI全体の流れを、最小限の実装で実現できるようサポートします。
また、Vercel AI SDKの大きな特徴としては、Generative UIがあります。
これにより、単なるテキストベースのチャットボットを超えて、AIの応答内容に基づいた動的なUIコンポーネントを生成することが可能です。
たとえば、天気情報や株価情報など、特定のツールから取得したデータを専用のReactコンポーネントとして画面に表示することで、ユーザーはより視覚的でインタラクティブな情報体験を得られます。
一例として下記のツイートを見ると、SQLから得られたデータをビジュアル化して表現することもできる様子が分かります。
https://twitter.com/rauchg/status/1846690036038668471
Vercel AI SDKの活用事例
ここでは、Vercel AI SDKの活用事例を3つご紹介します。
1. カスタマーサポート・営業チャットボット
Chatbaseというサービスは、Vercel AI SDKを利用して企業ごとにカスタマイズ可能なチャットボットを提供しています。
月間50万ユーザーを抱える大規模環境でも安定稼働し、AI SDKによるストリーミング応答やモデル切り替えの柔軟性が高く評価されています。
https://vercel.com/blog/how-chatbase-scaled-rapidly-with-vercels-developer-experience-and-ai-sdk
2. 社内文書の要約・検索(ナレッジベース)
Vercel AI SDKは、PDFドキュメントの取り込みや埋め込み(ベクトル検索)を活用するテンプレートも用意しています。
大量の社内文書を一括で要約・索引化して、自然言語で質問すると最適な回答を返す社内FAQボットを構築でき、情報共有の効率が大幅にアップします。
https://vercel.com/blog/ai-sdk-4-0
3. ビジネス文書作成支援
ChatPRDのように、プロダクトマネージャーが要件定義や企画書をAIと共同で作れるサービスも登場しています。
数行のプロンプトを入力するだけで骨子となる文書を生成し、対話を重ねながら詳細を詰めていけるため、ビジネスサイドのアイデア出しを加速させる例が増えています。
https://vercel.com/blog/leveraging-vercel-and-the-ai-sdk-to-deliver-a-seamless-ai-powered-experience
Vercel AI SDKの概要と活用事例についてはご理解いただけたかと思います。
ここからは、Vercel AI SDKのインストールから、OpenAIのAPIキーの設定、そして実際にチャットUIを構築するまでの一連の流れを、具体的なコード例とともに解説していきます。







