今週のAI業界では、OpenAIのNVIDIAとの提携などを通じた国家予算級のAIインフラ投資新機能「ChatGPT Pulse」が注目を集めました。一方、MicrosoftはAnthropicのClaudeモデルをCopilotに統合し、AI基盤を多角化する戦略を加速させています。

また、AI音楽生成のSunoが新モデル「v5」を発表。生成可能な楽曲の長さや品質を大幅に向上させ、クリエイティブ分野でのAI活用がさらに身近になったことを印象付けました。

この記事を読めば、今週押さえておくべき重要ニュースの要点を素早くおさらいできます。今週見逃せないAIニュースとそのポイントを、まとめてお届けしていきます。

Google、Geminiモデル群の更新と多方面への応用を加速 🤖🔬

Gemini 2.5 Flash / Flash-Liteが更新、出力効率と品質向上
軽量・高速モデルであるGemini 2.5 FlashおよびFlash-Liteのプレビュー版が更新されました。出力トークン数をFlashで24%、Flash-Liteで50%削減し、コストと遅延の低減を実現。

特にFlashは、エージェント機能の核となるツール利用性能が向上し、ソフトウェア開発ベンチマーク「SWE-Bench Verified」のスコアが48.9%から54%へ改善しています。
公式発表: Continuing to bring you our latest models, with an improved Gemini 2.5 Flash and Flash-Lite release

ロボット向けVLA/VLM「Gemini Robotics 1.5 / ER 1.5」発表
物理世界で動作するAIエージェントの構築に向け、新たなモデル群を発表。高度な計画を担当するVLM(視覚言語モデル)「ER 1.5」と、視覚・言語情報からロボットの動作を生成するVLA(視覚言語アクションモデル)「Gemini Robotics 1.5」で構成されます。(ERはEmbodied Reasoningの略)。

ER 1.5はGoogle Searchなどをツールとして呼び出し、長期タスクの計画を立案可能。15の学術ベンチマークでSOTA(最高性能)を達成しています。ER 1.5はGemini API経由で開発者向けプレビューが、Robotics 1.5は一部パートナー向けに提供されます。
公式ブログ: Gemini Robotics 1.5 brings AI agents into the physical world
技術レポート: Gemini Robotics 1.5 Tech Report

https://youtu.be/AMRxbIO04kQ?si=AG4rQdz3vzSg4Jsb

Google PlayにAI支援機能「Sidekick」導入
Google Playストアに、ゲームプレイをリアルタイムで支援する「Play Games Sidekick」が導入されます。

Gemini Liveの画面共有技術を活用し、Geminiがゲームの文脈を理解して音声でユーザーと会話する機能で、今後数ヶ月以内に提供開始予定。例えば、「次はどこへ行けばいい?」「このボスの弱点は?」と尋ねると、今の画面を前提に即時にアドバイスしてくれます。
公式発表: A more curated and helpful Google Play

https://youtu.be/eb7hm7ha6EE

Vertex AIでGoogle MapsによるグラウンディングがGA
開発者向けプラットフォームVertex AIで、LLMの回答をGoogle Mapsのデータに紐付けて事実性を高める「Grounding with Google Maps」が一般提供(GA)を開始しました。

2億5,000万件以上の地点情報に基づき、最新情報やレビューの文脈を反映した回答を生成できます。
公式発表: Your AI is now a local expert: Grounding with Google Maps is now GA

サンプルコード:

from google import genai
from google.genai.types import GoogleMaps,Tool, GenerateContentConfig

client = genai.Client()

response = client.models.generate_content(
    model="gemini-2.5-flash",
    contents="Where can I get the best espresso near me?",
    config=GenerateContentConfig(
        tools=[Tool(google_maps=GoogleMaps())], # Use Google Maps Tool
        tool_config=types.ToolConfig(
            retrieval_config = types.RetrievalConfig(
                lat_lng = types.LatLng(
                    latitude=40.7128,
                    longitude=-74.006
        ))),
    ),
)

print(response.text)
# Example response: 'Here are some of the top-rated places to get espresso near you: ...'

Compute Engineに「Flex-start VMs」がGA、GPU確保性を改善
需要が逼迫するGPUを確保しやすくするため、Compute Engineに「Flex-start VMs」が一般提供されました。インスタンス作成要求を最大2時間キューで保持し、リソースが確保でき次第VMを起動。これにより、GPU不足による即時起動の失敗を回避しやすくなります。
公式発表: Introducing Flex-start VMs for the Compute Engine instance API

DORA 2025レポート、開発者のAI利用率は90%に
Google Cloudが発行する年次調査「DORA Report」の2025年版が公開。約5,000人の技術者を対象とした調査で、開発業務にAIを活用している割合が90%(前年比+14%)に達したことが報告されました。

一方で、単にツールを導入するだけでは成果に繋がらないと指摘。プラットフォームの品質や明確なワークフローの整備など、「7つの鍵」が重要だとしています。質の高いデータ環境やそして利用者のことを第一に考える姿勢なども含まれています。
公式発表: Announcing the 2025 DORA Report

Frontier Safety Framework 3.0を公開
最先端AIの潜在的リスクを管理する安全フレームワークがv3.0に更新されました。悪用リスクのカテゴリに、従来のCBRN(化学・生物・放射性物質・核兵器)やサイバー攻撃に加え、「有害な操作(persuasion, manipulation and deception)」を新設。

モデルが操作不能になったり、シャットダウンを妨害したりするリスクへの対処も明記されました。
公式ブログ: Strengthening our Frontier Safety Framework
フレームワーク詳細(PDF): Frontier Safety Framework 3.0

ポイント
① モデル層
: Flash系の効率化やロボット向けモデルの発表など、基盤モデルの研究開発が進展
② 応用層: Google PlayへのAI支援機能導入や、開発者向け機能(Vertex AI, Compute Engine)のGAなど、エコシステム全体への実装が加速。
③ 安全・調査: 安全フレームワークの更新や開発動向調査を通じ、AI技術の責任ある普及と実態把握にも注力。

OpenAI、AIインフラへ国家予算級の巨額投資を連続発表 NVIDIA・Oracle・ソフトバンクなどと連携強化 🚀

AIインフラ構築へ、空前の規模の投資計画を始動

OpenAIは、将来のモデル開発に必要な計算資源を確保するため、主要パートナーとの連携をかつてない規模で強化しています。

NVIDIAと戦略的パートナーシップを締結
NVIDIAとの間で、OpenAIの次世代AI基盤に少なくとも10ギガワット(GW)規模のNVIDIAシステムを導入する基本合意書(LOI)を締結。この展開に伴い、NVIDIAは段階的に最大1000億ドルを投資する計画です。
OpenAI公式発表: OpenAI and NVIDIA Announce Strategic Partnership
NVIDIA公式発表: OpenAI and NVIDIA Announce Strategic Partnership to Deploy 10GW of NVIDIA Systems

https://x.com/mrp/status/1970172382297182569

「Stargate」プロジェクト、米国5拠点を追加し計画は7GW規模に
Oracle、ソフトバンクグループと共同で進めるデータセンタープロジェクト「Stargate」において、米国に新たに5つの拠点を追加選定。これにより計画容量は約7GWとなり、今後3年間の投資総額は4000億ドルを超える見込みです。
公式発表: Five New Stargate Sites Selected to Power the Future of AI

https://twitter.com/sama/status/1970812956733739422

CoreWeaveとの供給契約も65億ドル追加
GPU特化型クラウドを提供するCoreWeaveとの供給契約を最大65億ドル分追加。これにより2025年末時点での累計契約額は約224億ドルに達し、インフラ供給元を多様化する戦略が鮮明になっています。
公式発表: CoreWeave Expands Agreement with OpenAI by up to $6.5B

グローバル・エンタープライズ展開の本格化

インフラ投資と並行し、各国の規制や企業のニーズに対応した事業展開も加速しています。

SAPと提携し、ドイツ向け「OpenAI for Germany」を共同開発
ドイツのソフトウェア大手SAPと提携し、同国の公的部門向けにデータ主権要件を満たす「OpenAI for Germany」を2026年に提供開始する予定です。データ処理がドイツ国内で完結する仕組みで、欧州の規制に対応します。
公式発表: OpenAI for Germany: A Sovereign Offering for the Public Sector

業務向けChatGPTを大幅強化
ChatGPTのBusiness, Enterprise, Eduプラン向けに、チーム内でチャットやファイルを共有・管理できる「共有プロジェクト」機能を導入。また、ISO 27001シリーズやSOC 2といった国際的なセキュリティ認証を取得し、エンタープライズレベルの信頼性を高めています。
公式発表: More ways to work with your team in ChatGPT

新製品と次世代モデル評価への布石

製品機能の拡充と、モデルの能力をより実世界に即して評価する取り組みも発表されました。

パーソナライズされた日次情報「ChatGPT Pulse」をプレビュー提供
ChatGPT Proユーザーのモバイル向けに、新機能「Pulse」の先行提供を開始しました。

この機能は、利用履歴などに基づき、パーソナライズされた情報を毎朝カード形式で届けるものです。
公式発表: Introducing ChatGPT Pulse

ChatGPTのモデル自動切り替えについて公式が説明、安全性を高める新システムのテストと判明 一部で報告されていた、ChatGPTでGPT-4oを選択しても自動でGPT-5に切り替わる挙動について、OpenAIの責任者が公式に説明しました。

これは、新たにテストされている「Safety Routing System」によるものです。感情的・繊細なトピックが会話に含まれる場合、そのメッセージ単位で、より慎重な応答ができるように設計された推論モデル(GPT-5など)に一時的に処理を切り替える仕組みです。

この取り組みは、今後導入予定のペアレンタルコントロール機能などを含む、AIの安全性を強化する広範な施策の一環とされています。
公式ブログ: Building more helpful ChatGPT experiences for everyone

https://x.com/nickaturley/status/1972031684913799355

新評価指標「GDPval」を公開、実務能力を測定
従来の学術的なベンチマークとは一線を画す、新たな指標「GDPval」を発表しました。これは、モデルの能力を44の現実世界の職務(看護計画、設計図作成など)に基づいて評価するものです。

公式のブログでは、Claude Opus 4.1は、GDPvalのゴールドセットで、人間の専門家の成果物と比べて「同等以上」と判定される割合が最も高いと報告されています。

特に、文書やスライドの見た目やレイアウトが得意で評価を伸ばしました。一方、GPT‑5は事実の正確さや専門知識の検索で強みがあり、分野ごとに得意が分かれます。要するに、総合の勝率はClaudeがトップ、精度重視の場面ではGPT‑5が強いという整理です。

公式発表: GDPval: Evaluating the Real-World Capabilities of AI