Replitの開発チームが来日し、最新情報を直接語る「Replit Meetup Japan #1」が開催されました。Agent 3の新機能から実際の活用事例まで、幅広いトピックが共有された2時間。日本初開催ということもあり、会場は満席に近い盛況ぶり。海外からの参加者も見受けられました。

本記事では、このミートアップで語られた内容をレポートします!

  • 日時:2025年12月2日(火)19:00〜21:00

  • 会場:さくらインターネット東京支社 32F(東京都新宿区西新宿)

  • 主催AI 駆動開発勉強会

Replitの特徴とAgent 3の進化

最初の登壇者はRyo Sato氏(Replit公式アンバサダー | @nobita2040)。
Replitの特徴とAgent 3の最新情報を解説していただきました。

Replitの大きな特徴は、環境構築が一切不要という点。
クラウド上にワークスペースが立ち上がるため、ローカルマシンへのセットアップは必要ありません。

技術スタックの選定もReplit側で管理されています。使える技術スタックは6パターンに決まっていて、エージェントが自動的に選んでくれる仕組み。

Sato氏いわく「技術スタックに関してはReplitに任せた方がいい」とのこと。機能要件やデザイン要件だけを伝える方が、むしろ効率的だそうです。

アーキテクトエージェントの調整

Agent 3から追加されたエージェントは、コードのレビューも行ってくれます。

ただし、Sato氏によると「ちょっとクセ者」。意図しない範囲までレビュー対象にしてしまうことがあり、時間がかかるケースもあったとか。

現在は自律性(Autonomy)の設定でLow・Medium・Highが選べます。

  • Low: 最小限のコードレビュー

  • Medium: 修正した箇所だけレビュー

  • High: 全コードをレビュー

Sato氏の推奨は「MediumかLow」。Highだと予想外のところまで修正されることがあるため、注意が必要です。

新機能の紹介

Design Mode

Gemini 3を活用した機能で、高品質なデザインのモックやウェブサイトを素早く作成できます。

デモでは花屋さんのランディングページを依頼。すると2〜3分程度で生成。画像も並列で10個ほど、8秒程度の動画まで自動生成されていました。これはなかなかの完成度。

「本当にプロが作るウェブデザインのようなクオリティ」とSato氏


Fast Mode

ピンポイントな修正を素早く行いたいときに使う機能。雷マークのボタンから利用できます。

「細かい修正はこれを使えば通常のエージェントより安価」とのこと。ちょっとした調整にはありがたい機能です。

Replit Connectors

外部APIとの連携機能。従来はAPIキーを手動で設定する必要がありましたが、アカウントにログインするだけで自動的に管理してくれます。地味ですが、実用上は大きな改善。


チームでの運用

山浦真由子氏(@myapdx)は「チームで使うときの運用・活用イメージ」をテーマに登壇。

Replitに注目している理由は、素早くプロトタイプを作れる点。エンジニア以外のメンバーも巻き込んだプロジェクトでの活用を想定しているそうです。

チームでの活用パターンとして、次のような流れを提案していました。

① 営業やPMが提案用のプロトタイプを作成
② クライアントに見せて方向性を確認
③ デザイナーがReplit上で調整
④ エンジニアが引き継いで実装

一方で課題も率直に共有されました。サーバーがGoogle Cloudで動いているため、Azure環境の企業では導入しにくい場合があること。課金体系が若干ハードル高めなこと。エージェントの限界もあること。

それでも、デモや提案の場面では有効なツールという位置づけでした。


Replitでアプリを30個作った話

あやみ氏(@ayami_marketing)は、Replitで30個のアプリを作った経験を共有してくれました。

もともとプログラミングの経験はなかったそうです。「自分で何か作りたい」という思いはあったものの、従来の開発方法では大変で諦めていた時期もあったとのこと。

作ったアプリの例はこんな感じ。

  • ポッドキャストの内容を自動で記事化・X投稿用に変換するツール

  • AIニュースを集約・要約してくれるアプリ

  • 仕事用とプライベートのお金を一元管理するツール

30個作る中で得た知見として、以下を挙げていました。

  • シンプルな機能から始めて、段階的に追加していく

  • エラーが解消できないなら、作り直した方が早いこともある

  • 完成系のイメージを固めてから作り始める

「欲しいものを自分で作るのはすごく楽しい。アイデアが形になるのは面白い」と話していました。

「非エンジニアにとっては、目に見えるものがすぐできることが大事」この話が印象的でした。小さくても形になると成功体験の積み重ねになり、モチベーションが続く。動くものが簡単に作れる点で、Replitは入り口として良かったそうです。


Replitメンバーへのインタビュー

イベント後、Aman Mathur氏(@amanmathur_)に話を聞く機会がありました。

社内での活用

Replitでは、リリース前の機能を社内で1〜2週間テストする文化があるそうです。「自分たちが使いたいと思えるかどうか」が品質の基準になっているとのこと。

Aman氏自身も日常的にReplitを活用。Stripeの決済データやアンケート結果を集約してAIでサマリーを生成するツール、顧客との通話前のブリーフィングアプリなどを作っているそうです。

開発を始めるときのTips

「できるだけ多くのコンテキストを提供すること」が重要だと話していました。

フォント、カラー、画像などを事前に指定する。参考にしたいページのリンクを渡す。Galleryのテンプレートをリミックスする。こうした工夫でクオリティが上がるそうです。

今後の方向性

Agent 4の具体的な内容は明かされませんでしたが、3つの注力領域が挙げられました。

  • Design Mode: デザイナーからの関心が高く、継続投資

  • セキュリティとスケーラビリティ: 長期間動き続け、成長に対応できること

  • 自律性の向上: より長時間の稼働、より複雑なタスクへの対応

Q&Aセッション

会場とオンラインから寄せられた質問に、Aman氏とSangwoo氏が回答しました。

Q. 大規模サービスでの利用事例は?

「Meta、American Express、Visaといった企業でも社内で活用されています。Zillowでは開発ワークフローに積極的に導入されています。毎日数万から数十万人がアクセスするアプリもReplit上で動いています」

Q. ステージングと本番環境は分けられる?

「『プロダクション・データベース』機能で、本番と開発環境を完全に分けられます。Agentが開発環境で変更を加えても、本番データが壊れることはありません」

Q. 他のAIツールと比べた強みは?

「Replitは約10年の歴史があり、ほぼすべてのプログラミング言語に対応しています。データベースからデプロイまで、Replit一つで完結するのが差別化ポイントです」

Q. 既存の大規模プロジェクトにも対応できる?

「『0から1』が得意ですが、GitHubからのインポートも可能です。大規模リポジトリはまだ改善中ですが、エンタープライズ向けに日々進めています」

Q. ネイティブアプリは作れる?

「はい。『Mobile Stack』でネイティブアプリ開発が可能です」

Q. CursorやClaude Codeと比べてどう?

「『開発の入り口を低くする』ことを重視しています。Replit社内のエンジニアもIDEと併用しています。ただ、エンジニアでない人がReplitで数百万ドル規模のビジネスを作った事例もあります。新しい『ビルダー』層を生み出していると考えています」

Q. 従業員数と開発体制は?

「140〜150人です。デザイン、フロントエンド、プロダクト、インフラ、AIのチームに分かれ、プロジェクトごとに柔軟に集まる体制です」

Q. セキュリティ対策は?

「『セキュリティ・スキャナー』でコードの脆弱性をチェックできます。問題があればAgentに指示して自動修正。Googleと提携しているので、デプロイ時にGoogle Cloudの保護も受けられます」

Q. Replitを使いこなすアドバイスは?

「問題を小さく分解する能力が大切です。公式の『101コース』やYouTube、ブログでプロンプトのコツを発信しているので、チェックしてみてください」

まとめ

今回のイベントで繰り返し語られていたのは、Replitが「環境構築なしで即座に開発を始められる」というポジションを徹底している点。技術スタックの選定からデプロイまで、多くの工程がプラットフォーム側で吸収されています。

一方で、料金体系やエージェントの現状といった課題も率直に共有されていました。すべてのユースケースに最適というわけではなく、プロトタイピングや提案資料作成で強みを発揮するツール、という位置づけのようです。

あやみ氏の「30個作った」という事例は、非エンジニアがAI駆動開発を使いこなしている具体例として興味深いものでした。シンプルに始めて段階的に拡張する、行き詰まったら作り直す——こうした姿勢は、AI駆動開発全般に通じる知見といえそうです。